( 123919 ) 2023/12/20 20:44:27 1 00 この記事は、安倍晋三元首相の政治資金に関する複雑な流れを説明しています。要点を箇条書きでまとめると以下の通りです:
問題点としては、安倍氏の政治的「遺産」を政治家でない昭恵氏が非課税で相続すること、そして政治家の政治資金が非課税で相続されるべきかどうかが挙げられています。また、世襲議員の問題や政治団体の存続に関する疑問もあります。政治資金の問題に詳しい岩井奉信氏は、政治資金の相続や政治団体間の資金移動に関して、法改正が必要であるものの、その進展は疑問視しています。 |
( 123920 ) 2023/12/20 20:45:07 0 00 11月25日、毎日新聞(電子版)は「政治資金 昭恵氏継承団体に1・8億円 安倍元首相死後、関係5団体から」との記事を配信した。広島市に本社を置き、山口、岡山、島根などの各県で販売されているブロック紙・中国新聞も同じ日に同じ内容の記事を朝刊に掲載した。 【写真をみる】夫の事件後はじめての墓参りで、去りがたい表情を見せる昭恵さん *** 資金の流れが複雑なので、記事の内容を箇条書きで説明する。 【1】 2022年7月8日、安倍晋三元首相が奈良県で銃撃され死亡。 【2】 同日付で安倍氏の政治団体「晋和会」と政党支部「自民党山口県第4選挙区支部」の代表に妻の昭恵氏が就任。 【3】 7月27日から晋和会への資金移動が始まる。第4選挙区支部の1億3731万円、後援団体「東京政経研究会」の5000万円、他3団体の36万円が晋和会に寄付。総額は1億8767万円に達した。 【3】 23年1月、第4選挙区支部が解散。支部には毎年、党本部経由で1000万円以上の政党交付金が支給されていた。22年当初には2379万円の残金があり、政党支部が解散する際は残金を国庫に返す必要があった。だが支部は人件費を増やしたり事務所費に充てたりして解散前の22年中に使い切っていた。 【4】 晋和会の22年の収入総額は、関連団体からの資金移動に加え、安倍氏が生前に開いた政治資金パーティーの収入など3億1609万円。支出では人件費に1億2662万円が計上され、例年の2~5倍。人件費の内訳は記載義務がないため、毎日新聞は詳細を確認できなかった。22年末時点で晋和会には1億3587万円の繰越残高がある。 昭恵さんの問題点 ちなみに7月3日、日本共産党の機関紙・しんぶん赤旗(電子版)も「安倍元首相事件当日に資金管理団体解除 “私人”昭恵氏、残金を継承」との記事を配信した。 さらに、12月8日の参議院予算委員会で質問に立った立憲民主党の蓮舫氏が、昭恵氏の非課税相続はパーティー券の収入や繰越金を含めると約3億4000万円に達すると指摘した。 あまりに怪しく、問題が多すぎる“相続”──という印象を持った方は多いのではないか。担当記者が言う。 「他の主要メディアも詳報を行ったことから、昭恵さんに対する批判の声は相当なものです。結果、2つの論点が浮上しました。1つは『安倍晋三氏の政治的“遺産”を、政治家ではない昭恵さんが非課税で相続する問題』です。毎日新聞によると、晋和会の所在地は議員会館から昭恵さんの自宅に移され、『国会議員の資金管理団体』から『その他の政治団体』に変更されたそうです。一応は法律に則って修正しているわけですが、『なぜ国会議員でもない昭恵さんが、巨額の政治資金を非課税で相続することができるのか』と納得できない有権者も多いようです」 森喜朗氏の政治団体 2つ目は「そもそも政治家の政治資金が非課税で相続されていいのか」という問題だ。これに関しては特に野党議員から批判の声が上がっている。 「念頭に置かれているのは政治家の世襲問題です。国会議員だった父や母が引退、子供が同じ選挙区で当選した場合、その資金管理団体を“世襲”することができます。世襲議員は当選当初から豊富な政治資金を懐に入れることが可能な一方、世襲ではない議員は“裸一貫”の状態から政治資金を集めなければなりません。資金力の差は明らかで、『これではフェアとは言えない』と指摘されているのです」(同・記者) 安倍晋三氏には“後継者”となる親族が存在しなかったため、妻の昭恵氏が政治団体を継承した。同じような状況だった森喜朗元首相は、政治家を引退しても政治団体の代表を務めていたことが問題視された。 「週刊新潮は2017年1月26日号に『政治は引退しても黒い政治資金で稼ぐ「森喜朗」を許せるか?』との記事を掲載しました。森氏は政治家を引退しても資金管理団体の代表を務め、パーティー券などの収入を計上していました。週刊新潮の取材に、ある税理士は『課税を免れる目的で資金管理団体を利用していると言われても仕方がない』と問題視しています。その後、総合情報誌のFACTAが19年3月号で、森氏の政治団体の解散を報じました」(同・記者) 相続税議論の問題点 政治資金の問題に詳しい日本大名誉教授(政治学)の岩井奉信氏は「まず政党支部の残金について、昭恵さんの処理は問題だと言えます」と指摘する。 「政党支部は、国が政党に政党交付金を助成し、その交付金から政党が所属議員の取り分を送るために存在します。原資は国民の税金ですから、毎日新聞などの報道が事実であれば、安倍晋三氏の死後、自民党山口県第4選挙区支部の代表を引き継いだ昭恵さんは、政党交付金の残金を速やかに国庫へ戻すべきでした。人件費などで使い切ったと伝えられており、これが法律に触れることはないとはいえ、問題のある行為だったと言えるでしょう」 一方、政治団体の“継承”と政治団体間の資金移動については「非常に難問です」と岩井氏は言う。 「この問題に多くの国民が怒っています。とはいえ、一部の議員が相続税の適用を主張していることは、妥当ではないと言わざるを得ません。安倍さん個人が集めた政治資金は、『政治活動に役立ててほしい』という趣旨から支払われたものです。半ば公的な意味を持つお金であり、安倍さんが個人的に得た収入とは異なります。安倍さんの個人的な資産であれば相続税を課すのは当然ですが、安倍さんに委ねられた政治的な資金にまで相続税を課すのは税の目的から逸脱しています」 抜本的な法改正 政治団体を第三者に譲り渡すことも法的には問題はない。岩井氏は「親族への世襲や夫婦間の継承だけでなく、国会議員の死去に伴って秘書が政治団体の代表に就任したケースも知っています」と言う。 安倍昭恵氏や引退した森喜朗氏が本当に「政治活動」に従事していたかは疑わしいが、これも法的には問題はないという。 「政治団体かどうかを国が判断するのは、活動内容を精査しているからではありません。きちんと収支さえ報告すれば、政治団体として認められるのです。法律がそう定めている以上、昭恵さんや引退した森さんが政治団体の代表を務めることには問題がないことになります。国民の多くは納得できないでしょうし、それは当然だと思います。ただ、現行法では、政治団体の解散の手続きさえ明確には定めていません。国民の不信感を払拭するには抜本的な法改正が必要ですが、これもうまくいくかどうかは疑問です」(同・岩井氏) 当たり前のことだが、法律を改正するには国会議員が国会で論戦し、新たなルールを作る必要がある。とはいえ、彼らにそんなことができるはずもないと諦めている国民も少なくないはずだ。 昭恵氏や森氏による「政治団体の問題ある存続」など氷山の一角だろう。さらに今、東京地検特捜部が捜査を進めている政治資金パーティーの問題は、改めて政治家の“カネに汚い”姿を浮き彫りにした。 政治不信 「憲法で『結社の自由』が保障されていることも大きな意味を持ちます。政治団体に国がいたずらに手を突っ込み、その資金に課税など積極的な介入を行うのは、やはり問題です。確かに、政治団体に対する優遇策を悪用し、脱税などに利用しているケースはあります。とはいえ、もし政治団体への積極的な介入を許す法改正が行われれば、国が政治団体の弾圧に悪用する懸念も生じます。やはり法改正は、慎重すぎるくらいの姿勢でちょうどいいと言えるでしょう」(同・岩井氏) デイリー新潮編集部 |
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