( 124033 )  2023/12/21 23:40:28  
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岸田文雄首相(自民党総裁)が萩生田光一政調会長の後任として調整している無派閥の渡海紀三朗元文部科学相(75)は科学技術政策に精通する一方、党四役の就任は初めてとなる。平成19年に福田康夫内閣で初入閣して以来、久しぶりに脚光を浴びる舞台に立つ。

渡海氏は26年以来、9年以上も党科学技術・イノベーション戦略調査会長を務めており、党内では文教族の重鎮として知られる。普段は温和だが、筋が通らないと感じると人目もはばからず激高することもある。今年4月に首相が日本学術会議法改正案の国会提出を見送った際には、民営化を唱えて学術会議の改革案を考えていた渡海氏が、親しい議員の前で怒りを爆発させ、首相の対応を批判したという。

かつては山崎派(近未来政治研究会、今の森山派)に所属していたが、最近は無派閥で活動する。石破茂元幹事長と親交が深く、平成30年と令和2年の総裁選では、石破氏が出馬するために必要な推薦人に名を連ねた。旧石破派(水月会)の幹部は、渡海氏を同派にとっての「客人」と呼んでいた。

3年9月の総裁選では、首相に敗れた野田聖子元総務相の推薦人にもなった。野田氏の陣営のベテラン議員によると、当時野田氏が出馬に必要な20人分の推薦人を確保できない中、ベテランが渡海氏を複数回口説いた。当初は渡海氏の態度が煮え切らず、周囲には「政策面では95%(同じ総裁選に出馬する)岸田氏と一致する」と複雑な心境を漏らしていた。

最終的に渡海氏が野田陣営に就くことを決めた背景には、妻の一言があったという。

「こんなに頼まれているのにおかしい! いい加減、野田さんに決めなさい」

高市早苗経済安全保障担当相に加え、史上初めて女性候補が2人出馬した総裁選を演出した形になり、ベテランは「渡海氏に感謝だ」と漏らしていた。(奥原慎平)

 
 

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