( 124227 )  2023/12/31 18:36:29  
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記者会見で業務改善命令について発言する鈴木金融相(26日午前、財務省で)=上甲鉄撮影 

 

 金融庁は26日、企業向けの保険契約を巡る保険料の事前調整問題で、東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の4社に保険業法に基づく業務改善命令を出した。不適切な契約は576の取引先を対象に行われており、不当に高い保険料を支払わされていた恐れがある。金融庁は悪質性が高いとして再発防止の徹底を求めた。 

 

 損保大手への一斉処分は保険金の不払い問題があった2007年以来、約16年ぶり。鈴木金融相は記者会見で「不適切な行為が広く反復継続して行われ、悪質性が高い。二度と起こさないよう抜本的な改善を強く求める」と強調した。 

 

 金融庁は独占禁止法に抵触する恐れのある事前調整が広範囲に及び、顧客軽視の企業文化があると指摘。適正な営業や法令順守態勢の確立、経営責任の所在の明確化を求めた。4社は来年2月末までに金融庁に業務改善計画を提出する。 

 

 金融庁は今回、各社に少なくとも過去5年間分調査するよう指示。その結果、▽シェア(占有率)の現状維持▽有利な保険料での契約▽他社の条件と隔たりを避ける――などの行為が確認された。不適切な契約は576の企業や自治体を対象に行われていた。今後さらに膨らむ可能性もある。 

 

 原因については、営業担当者が経営陣から利益増加を強く求められていた点に加え、法令順守を含む組織全体の態勢上の問題があったとした。取引先との関係維持のために損保側が保有する株式の多寡が引き受けのシェアに影響した点も指摘した。 

 

 損保業界は過去に再編を繰り返し、現在の大手4社に集約された。売上高にあたる正味収入保険料で4社のシェアは8割を超える。補償額の大きい企業保険の引き受けは4社に集中しやすく、競争が働きにくい構造になっていた。 

 

 事前調整は保険契約の入札を行った私鉄大手東急グループの指摘で発覚。その後、東京都やJR東日本、仙台国際空港などとの契約にも拡大した。 

 

 

 
 

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