( 124704 )  2024/01/02 10:24:29  
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岸田首相は2024年にどんな展望を描くのか 

 

【ニュース裏表 伊藤達美】 

 

年末にあたり、今年の政局を振り返りつつ、来年の展望をしてみたい。 

 

【アンケート結果】次の首相にふさわしいのは… 

 

今年は、岸田文雄首相が解散に踏み切るかどうかで揺れた一年だった。 

 

筆者は、岸田首相が「反撃能力保有を含む防衛力の抜本的強化」「異次元の少子化対策」「原子力の活用やマイナンバーカードの普及」などの政策を本格的に進めるのであれば、解散して「国民の信」を問うのは不可避だろうと予想していた。信を得ずして、このような賛否の分かれる問題を成し遂げることはできないと考えたからだ。しかし、岸田首相は解散しなかった。 

 

この判断は岸田政権にとって致命的だった。岸田首相は「解散できない首相」の烙印(らくいん)が押され、支持率も急落した。さらに、12月に入り、自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件が表面化し、事態はさらに悪化した。 

 

来年の政局はどう動くか。 

 

岸田政権の3月退陣を予想する説も語られているが、筆者は可能性は低いと見る。まず、来年度の予算審議を控え「岸田降ろし」を正面切って言いにくい状況がある。 

 

また、安倍派や二階派は、派閥事務所の強制捜査などが行われ、派の存亡が問われる事態となっている。とても「岸田降ろし」をしている余裕はない。他の派閥も同様だ。今、急いで岸田首相を引きずり降ろしても、この局面を収拾できる見通しはない。 

 

一方、もし岸田首相が会期途中で政権を投げ出すなら、総裁選なしに首相指名選挙に臨まなくてはならなくなる。 

 

一本化ができなければ〝自民党分裂〟の可能性もありうる。そんな事態が現実に起これば、自民党は二度と立ち直れないかもしれない。結局、いろいろあっても通常国会の会期末までは、岸田首相を支えるしか方法がないのではないか。 

 

来年11月になれば衆院議員の任期は残り1年を切る。つまり、そう遠くない時期に解散・総選挙が行われるということだ。しかし、誰が総裁になっても、自民党が「選挙に勝てる」状況に回復させることは難しいのではないか。 

 

自民党の一部には、森喜朗内閣から小泉純一郎内閣への交代劇のような展開を期待する声もあるが、おそらくうまくはいかないだろう。そもそも小泉元首相に匹敵する「役者」は現在の自民党にはいない。 

 

要するに、第二次安倍晋三内閣以来続いてきた自民党の「一強体制」が終わるということだ。これを「混迷の時代の到来」と見るか、「新時代の幕開け」と見るかは、人それぞれだろう。 

 

はたして、国民は自民党の立ち直りを期待するのか。それとも野党に期待をかけるのか。来年は、今後の日本政治、ひいてはわが国の将来を決める大切な年になるかもしれない。(政治評論家) 

 

 

 
 

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