( 124970 )  2024/01/04 05:17:32  
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 ネトゲ廃人だったところから、なけなしの65万円を元手に投資を始め、資産150億円を築いた個人投資家の片山晃氏。日本を代表するスーパー投資家の一人である同氏に、2023年を振り返り、2024年の相場の流れを予測していただいた。みんかぶプレミアム特集「令和スーパー投資家 至極の教え」第2回。 

 

 2023年を振り返ると、予想外の株高になった年と言ってよいと思います。年始はすごく弱気になっていましたが、それを大きく裏切るような結果になり、資産を増やした方も多かったのではないでしょうか。年始に2万5000円台からスタートした日経平均株価でしたが、年末には3万3000円台程度で安定的に推移しました。 

 

 予想外の株高の要因としては、米国のインフレ懸念が和らいできたことが大きいです。10月にアメリカの長期金利が16年ぶりに5%を突破したときがちょうど円安もピークで、年末にかけて長期金利が下がっていくと同時に円相場も徐々に円高に向かっていきました。この2ヶ月ちょっとの期間で「もうインフレが止まらないんじゃないか」という市場の恐怖感も薄らいでいったのだと思います。すでに「2024年はさらに利下げするだろう」という、利下げ期待が折り込まれ始めています。 

 

 3月末に、東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)の低迷する上場企業に対して改善策を開示・実行するよう要請したことも要因としてありました。改善要請が出たばかりの頃は、お願いベースの話なのでどれほど実行力があるのかはわからず懐疑的な見方もありましたが、結果としては大企業・中小企業とも軒並み改善要請に応える形で動きました。そうした要請がなくとも、そもそも株主に報いようという動きをする企業が出てきていて、今後もこうした株主還元の動きは止まらないでしょう。 

 

 日銀の植田総裁は、金融正常化に向けて着実に進んでいるという印象です。慎重に米国の出方を見ながら、為替に関しても実弾を打たずに上手く円安局面を乗り切りましたよね。12月の段階ですでに市場では、2024年にはゼロ金利を解除する流れになることを織り込む動きが出てきています。春闘の様子を見ながらではありますが、2024年は金融正常化に向けてより一層歩みを進める年になるでしょう。一方、アメリカは利下げに進んでいくわけですから、ますます日米金利差が縮まる年になるはずです。 

 

 そのため、一旦は円高方向に向かうのが市場のコンセンサスになります。円安メリットで稼いでいた企業は厳しくなり、円安デメリットで利益が出る会社の株価は上がっていくでしょう。その動きはもう市場には織り込まれてきていて、代表的な銘柄であるニトリホールディングス(9843)の株価は11月後半から上がってきていますよね。 

 

 2023年1月~6月は120~130円台で推移していたので、今はまだ円安と言えますが、2024年後半4分の3は円安メリットがなくなって、場合によっては、円高メリットの方が効いてくるのではないかと見ています。いずれにせよ、基本的には厳し目にみた方が良いと思っています。為替というよりも、実力勝負で株を評価した方がいいでしょうね。 

 

 

 
 

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