( 125369 )  2024/01/05 03:05:53  
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東芝=2023年11月17日 

 

 1日に発生した石川県能登地方を震源とする最大震度7の地震は、電子部品産業や機械メーカーなどが集まる北陸地方の製造拠点にも被害を及ぼしている。 

 

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 地震の影響で複数の工場が生産を停止し、現時点で再開時期は明らかになっていない。年明け直後の大地震による被害の全容はまだ把握できておらず、長期にわたる地域経済全体への打撃も懸念される。 

 

 現段階で被害が深刻なのが石川県だ。東芝は、電気自動車(EV)や産業機器に使われるパワー半導体製造の主要拠点の一つである同県能美市の工場が、地震発生直後から操業を停止している。被害状況を確認中で「生産再開の時期は未定」(広報)としている。 

 

 石川、富山、福井に計13の工場がある村田製作所は、震源に近い石川県七尾市と同県穴水町にある二つの電子部品工場の被害状況を確認している。2工場の再開時期は見通せていない。 

 

 石川県川北町にあるジャパンディスプレイの車載向け製品工場では、配管の一部が損傷し漏水が発生した。装置に大きな損傷はなかったものの、地震でずれた機器の位置を調整する必要があり、冬季休業明けの9日に予定されていた生産再開の可否を検討している。 

 

 リコーの子会社でスキャナー大手「PFU」の石川県かほく市の工場でも、一部で壁などが壊れた。建屋や生産設備に大きな被害はないものの、断続的に余震が発生していることなどから、5日までの休業を決め、再開時期を見極める。 

 

 石川県加賀市にグループのモーター工場などがあるパナソニックホールディングス(HD)や、同県白山市に液晶パネルを製造する工場を持つシャープでは、大きな被害は確認されていないという。 

 

 新潟県上越市の日本製鉄のチタン製品の生産拠点は地震発生直後に操業を停止したものの、点検が完了した設備から順次、操業を再開している。 

 

 北陸地方には繊維や医薬品の製造拠点も集積している。東レは、炭素繊維などを製造する能美市の工場で一部損傷が生じた。当時稼働中だった工場は停止し、再開のめどは立っていない。 

 

 富山県高岡市と富山市に工場があるアステラス製薬は、「現時点で医薬品の供給に直ちに影響を与えるような被害は報告されていない」(広報)。同県射水市に工場がある大塚製薬グループでも特段の被害はないという。 

 

 民間シンクタンク、北陸経済研究所の藤沢和弘調査研究部担当部長は「被害の全容が明らかになっていないが、ものづくりや観光産業が大きなダメージを受け、2025年くらいまでは北陸経済は厳しい状況が続くだろう」と話した。【妹尾直道、井口彩、袴田貴行、町野幸】 

 

 

 
 

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