( 125469 )  2024/01/05 14:25:57  
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 年金の受給年齢が65歳に引き上げられ、「60歳以降も働きたい」と考える会社員が増えている。60歳以降の雇用継続は基本的に企業の財政難などもあり賃金の引き下げが行われることも多いが、そんなときは「高年齢雇用継続給付」に頼りたい。ところが2025年度からの「縮小」が決まっているという。 

 

 現場からは元上司が部下として戻ってくることに壁を感じる。縦社会がしみ込んだ日本企業で”かつての部下”の部下になったことを頭では理解できても、プライドなどが邪魔して体はなかなか順応できない。定年再雇用で新人時代の部の上司を今は部下として持つことになった大手メーカーの40代課長は、命令口調だったり、勝手に判断して指示を出したりする元上司に頭を抱える。「いつまで上司づらしているつもりなのか…」と漏らす。 

 

 人事ジャーナリストの溝上憲文氏が、変わりゆく「高齢社員の働き方」を解説する。 

 

 昔と違い、今では60歳を過ぎても働くのが一般的となった。公的年金が支給されないだけではなく、退職金も年々減少し、老後の生活を守るには働かざるを得ないのが現実だ。 

 

 それでも60歳以降はいったん退職し、元の会社と有期労働契約を結んで再雇用で働く人が圧倒的に多い。厚生労働省が12月22日に公表した2023年「高年齢者雇用状況等報告」によると、65歳までの雇用確保措置の内訳は、定年制の廃止が3.9%、定年の引上げが26.9%、継続雇用制度の導入が69.2%。継続雇用制度とは、本人が希望すれば引き続いて雇用する「再雇用制度」などであるが、再雇用の導入割合が圧倒的に高い。企業規模別では従業員301人以上では継続雇用制度の導入企業が81.9%と、大企業ほど継続雇用制度を導入している。 

 

 再雇用制度を選択する企業が多いのは、現役時代の給与を下げることができるからだ。最近は人手不足の企業を中心に65歳定年制を導入する企業も増えているが、定年が延長されると、賃金体系も変わらず、給与も減額されない。しかし大多数の再雇用社員は給与が下がる。 

 

 

 
 

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