( 125582 )  2024/01/05 17:21:06  
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初競り1番で落とされたマグロ(撮影・鈴木正人) 

 

 東京・豊洲の東京中央卸売市場で5日、注目のホンマグロ(クロマグロ)の初競りが行われ、4年ぶりとなる“1匹億オーバー”の高値取引となった。仲卸やま幸(ゆき)と、「銀座おのでら」のタッグチームが、4年連続で「一番マグロ」を落とした。同チームでの“億マグロ”は初。青森・大間産の238キロ、1匹総額で1億1424万円、1キロ単価は48万円だった。 

 

【写真】解体された初競り1番マグロの大トロ 

 

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 午前5時10分。カラン、カラン、カラン。生マグロの初競りの始まりを告げる鐘が打ち鳴らされた。競り場の1点に人垣ができた。12月30日に出船して大みそか未明、第57大運丸(菊池正義船長)の巻き網漁にかかった巨大マグロだった。風格のある胴回りのでっぷりした魚体に市場の視線が集まった。1キロあたり10万円から破格スタートでどんどん値が釣り上がり、最後、やま幸の「48万」で落ちた。 

 

 やま幸の山口幸隆社長は「景気がよくなってきたんだと感じる。まあこのぐらい(1億円超)の値はつくと思っていた」と振り返り「どれにしようか相当悩んだ。腹を見てね。(肉の赤い)色の良さ。いいマグロですよ」とニヤリと笑った。 

 

 ただ、今回の初競りは直前まで参加するかどうか迷った。オノデラフードサービスの長尾真司社長は「元日に能登半島が大変なことになった。被害も甚大です。競りに出ていいのか。真剣に話し合いました」と表情を曇らせた。ただ、坂上暁史統括総料理長は「明るいニュースもお届けしたい。コロナで苦しんだことも忘れていない。マグロはすしの花形。みなさんに喜んでいただければうれしいです」と口元を引き締めた。 

 

 競り落としたのは1分後の午前5時11分だった。落札を確認してすぐに昨年7月に開業したばかりの京都の回転ずし店からスタッフが新幹線に乗って上京。解体したばかりの一番マグロを正午すぎには京都に持ち帰る早わざで、その日夕方からの営業に間に合わせている。おのでらグループでは米ハワイ、ロスを含めて系列12店舗のスタッフが来て、持ち帰らせる方法で一番マグロを運んだ 

 

 築地でも豊洲市場での一番マグロは話題になっていて「ポンポンと値が上がってさ、いったね1億」「実は景気上昇中? これから上向くといいな」「インバウンドが増えた影響なのかね」などの声が聞こえてきた。 

 

 

 
 

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