( 125712 ) 2024/01/05 19:07:06 0 00 2024年1月2日、日本航空516便(エアバスA350)が羽田空港で炎上した。
東京の羽田空港で炎上したエアバスA350型機は、金属よりも耐熱性の低い炭素繊維複合材が使われていた。
【全画像をみる】衝突、炎上したJAL機に使われていたのは「炭素繊維強化プラスチック(CFRP)」…専門家の注目が集まる
今回の事故は、航空機に使用される軽量素材のテストケースと見なされそうだ。
しかし、その素材が「今回の事故の最終的な結果を変えたわけではない」と1人の専門家は語っている。
2024年1月2日に炎上した日本航空(JAL)の516便、エアバスA350の胴体と主翼には炭素繊維複合材が使われていた。今回の衝突炎上事故が発生したことで、この素材が注目を浴びることになりそうだ。
専門家たちは、火災の拡大について議論する際、航空機の材質に言及しているが、それが事故を悪化させたと指摘しているわけではない。
この事故では、羽田空港に着陸した日航機と同じ滑走路にいた海上保安庁の航空機が衝突した。
事故の様子を捉えた動画では、日航機が滑走路を進んで停止すると、激しい炎に包まれた。
機体が炎上したにもかかわらず、日航機に搭乗していた379人の乗客全員が無事脱出できたことは特筆に値する。だが日航機よりも小型の海上保安庁の航空機に乗っていた6人のうち5人が死亡した。
この日航機の製造元であるエアバス(Airbus)は、日本当局の事故調査に協力するために専門家チームを派遣すると、1月2日の声明で発表した。A350が炭素繊維複合材を使用していることは、議論される内容の1つになるだろう。
旅客機は従来、主にアルミニウム、鋼鉄、チタンなどの金属で作られてきたが、次第により軽量で燃費のよい炭素繊維複合材を使用する割合が増えていったと、ニューサウスウェールズ大学で航空宇宙設計の上級講師を務めるソーニャ・ブラウン(Sonya Brown)博士がガーディアンに語っている。
エアバスA350の主翼と胴体に使用されているのは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と呼ばれるものだ。
業界のニュースサイトSimple Flyingは2023年1月の記事で、この素材の軽量性によってエアバスA350は「ゲームチェンジャー」になったと評している。この素材は、ボーイング787にも使われている。
エアバスによると、A350の機体には「耐腐食性を高め、メンテナンスを容易にしながら、軽量でコスト効率の高い航空機を実現する」ために、チタンやアルミニウム合金とともに複合材を使用しているという。また、炭素繊維でできた外板は「金属製のものよりも『燃え尽き』にくい」としている。
今回の事故では、この素材が専門家の注目を集めた。元CNN航空編集者のジョン・オストロワー(Jon Ostrower)は、Xで「これは本当にすごいことだ」と述べている。
これは本当にすごいことだ。A350の構造が炎に対してどのように反応しているかを見てほしい。炭素繊維でこのようなことは、2008年にグアムで起きたB-2墜落事故以来であり、そして現代の民間航空機では初めてだ。
安全コンサルタントのジョン・コックス(Jon Cox)は、AP通信にこう述べている。
「複合材を使用した航空機で、これほどの大惨事となった火災は見たことがない。その一方で、あの機体は本当に恐ろしい災から(乗客を)守ってくれた。炎上するまでにしばらく時間があったので、その間に乗客は脱出することができたのだ」
ガーディアンによると、ブラウンも使用された素材によって機体の防火性能が影響を受けることに同意している。
「今回事故に遭った航空機に使用されていた(複合材に含まれる)樹脂の詳細については分からないが、アルミニウムよりも低い温度で構造的な強度や厚みを失うと考えられる」
だが彼女は、炭素繊維複合材によって「防火性能は変わるが、今回の事故に関しては、それが最終的な結果を変えたわけではない」とも述べている。
「炭素繊維複合材は摂氏約200度で剛性を失い始める可能性があり、アルミニウムは約700度で溶ける。しかし、今回炎上した機体は1000度を超える温度になっていた」と考えられることから、耐火温度の違いが特に大きな違いを生んだわけではなかった。
Mia Jankowicz
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