( 125865 )  2024/01/06 00:12:47  
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「スピードワゴン」の小沢一敬(C)日刊ゲンダイ 

 

 ダウンタウン松本人志(60)の女性への性加害疑惑を巡るNHKの対応が話題だ。松本がキスをしたり、「俺の子ども産めや!」などと性行為を迫ったりしたホテルのスイートルームに、女性を集めるなどお膳立てしたと週刊文春に報じられたお笑いコンビ「スピードワゴン」小沢一敬(50)が司会のEテレ「言葉にできない、そんな夜。」の3日のスペシャル番組放送を取りやめたのである。 

 

松本人志「Xデー」は1月10日? スピードワゴン小沢一敬の“シッポ切り”では世間もスポンサーも納得ムリ 

 

 NHKは番組公式サイトなどで「編成上の都合により、放送を見合わせることにいたします。今後の放送予定については、未定です」などとし、「出演者の選定を含め番組の内容については自主的な編集判断の下、その都度、総合的に判断している。今回は総合的な判断の下、放送を見合わせることにした」とした。 

 

 これは業界にちょっとした衝撃を与えたようだ。 

 

「性加害疑惑について、吉本興業は疑惑を全面否定し、法的措置をちらつかせ、小沢の所属事務所『ホリプロコム』はノーコメントとしています。言ってみれば、現在は疑惑がクロなのかシロなのかわからない。そんな段階で、小沢を降ろしたのだから、驚きますよ」と、ある芸能プロ社長は言う。 

 

 クロであれば、降板もやむなしだろうが、NHKはそう判断する材料を掴んだのか。松本、小沢が会見を求められる中、それにも応じていない現状ですでにアウトという判断だったのか。 

 

 ここに見え隠れしているのが、故ジャニー喜多川氏の連続性加害事件だ。昨年3月に英BBCの番組が報じたことで世界的に広まり、それがブーメランとなって、ジャニー氏の所業に対し見て見ぬふりをしてきた芸能マスコミも一斉に報道した。それで騒動となり、旧ジャニーズ事務所を解体へと追い込んだ。5月にあった市川猿之助とその両親の一家心中事件も、発端は猿之助のセクハラ、パワハラ疑惑。9月には宝塚歌劇団団員の死をめぐり、長時間労働や上級生の壮絶パワハラを遺族がメディアで告発、これも、くすぶったままだ。 

 

 文芸評論家の斎藤美奈子氏はこうした流れについて東京新聞のコラムで、これまで治外法権扱いだった日本芸能界の牙城にメスが入った意味は大きいとし、ジャニーズ、歌舞伎、宝塚の頭文字からJKT問題との呼び方もされているとした。そのコラムでは、共通点として、権力を持った上位者が下位のものを搾取ないしは抑圧する構造があり、それを組織ぐるみで隠蔽する体質、それらを監視すべきメディアが忖度しスルーしてきた背景があると指摘。年の瀬、ここに吉本のYが加わったとして、「JKT」と同様、Yも無傷ではすむまい、と結んだ。 

 

 実際のところ、業界でもこうした流れが続き、「人権後進業界」である芸能界の闇に更なるメスが今年も入っていくとの見方が少なくない。 

 

「言うまでもなく、NHKも忖度、スルーする側の最たるもの。ジャニーズ問題では、ジャニー喜多川氏が東京・渋谷の放送センターのトイレで性加害に及んでいたことが明るみに出ています。紅白歌合戦に何組もジャニーズのタレントを出場させ、『ザ少年倶楽部』などの番組で、ジャニーズとじっこんの関係を続けてきた。そうした経緯と反省もあり、松本人志の性加害疑惑に対応したのではないでしょうか」と前出の芸能プロ社長はみる。 

 

 NHKが今回の性加害では、女衒(ぜげん)役の小沢を即切ったのは対応というより、逃げを打った、というほうが近いのかもしれない。 

 

 

 
 

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