( 127466 )  2024/01/11 13:02:05  
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「乃が美」は高級食パンブームの火付け役だった(同社なんば店前に列をつくる大勢の客=2019年)/(C)共同通信社 

 

 昨年12月5日から北海道を除く全国のファミリーマートで発売され好評を博しているのが、高級「生」食パン専門店「乃が美」監修の「しっとりホイップあんぱん」だ。生クリームとはちみつが練り込まれた生地にあんとホイップという組み合わせ、税込み価格158円という手頃な価格がウケて、売り切れ店が続出しているという。 

 

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 ネットでは、《ようやく買えた》《365日食べられる》などの声が見られるが、これまで急成長してきた乃が美の業績は悪化している。昨年末の12月25日に公表された乃が美の決算公告によると、23年3月期はマイナス8480万1000円の最終赤字と振るわない。 

  

「流動負債が2.6億円まで膨れ上がる一方で、流動資産は8000万円ほどと危機的状況にあるのは間違いありません。一時はIPO(新規上場株式)を目指していたほど右肩上がりで成長していましたが、ブームが落ち着いてくると、“はなれ”と呼ばれる店舗の大半を占めるフランチャイジー(加盟店)の離脱が相次ぎ、全国で急増してきた店舗が続々と閉店している状況です。高級食パンブームはすでに収束していますが、根強いファンからの支持でどこまで持ちこたえられるのかが注目されています」(経済ジャーナリスト) 

 

■23年だけで13県で撤退 

 

 2013年に創業した乃が美は、小麦や生クリーム、バターなどの原料にこだわり、焼かずに耳までおいしく食べられる「生」食パンのレギュラーサイズ(2斤)が1000円という価格にもかかわらず、行列ができる店舗が続出し、高級食パンブームをけん引。47都道府県すべてに出店し、最盛期には256店舗の出店を達成している。 

 

 だが、高級食パン市場への新規参入が相次ぎ、ブーム収束とコロナの影響で店舗数は減少の一途をたどり、現在、日本と台湾で計110店舗と最盛期の半分以下にまで落ち込んでいる。昨年だけでも、群馬、茨城、岐阜、長野、富山、福井、滋賀、奈良、岡山、香川、徳島、高知、大分で店舗を撤退している。 

  

「19年には創業者がファンドに保有株を売却しましたが、その直後に発生した新型コロナとインフレで店舗運営は打撃を受けました。赤字状態が続いた加盟店で結成された“はなれの会”が本部にロイヤリティーの減額交渉を行ったと週刊誌に報じられています。コロナが明けて経済状況は薄日が差し始めているものの、高級食パン市場の苦境が好転することはなく、今年が正念場であるのは間違いないでしょう」(前出・経済ジャーナリスト) 

 

 ブームが過ぎ去った今、高級食パン市場自体の生き残りが注目されている。 

 

 

 
 

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