( 127635 ) 2024/01/11 22:41:31 0 00 参拝のため靖国神社に向かう小林弘樹・陸上幕僚副長(右端)=東京都千代田区で2024年1月9日午後3時34分、玉城達郎撮影
陸上自衛隊で航空事故の調査に携わる「航空事故調査委員会」の幹部らが今月9日に東京・九段北の靖国神社を参拝したことを、毎日新聞記者が確認した。防衛省は11日、事実関係を認めて、参拝にあたって実施計画が作成されていたことなどを公表。宗教施設に部隊で参拝することや、隊員に参加強要することを慎むよう求めた事務次官通達に違反する可能性があるとして、調査を始めたことを明らかにした。
【写真まとめ】靖国神社に向かう陸自幹部らの移動の様子
毎日新聞の取材によると、陸自の幹部たちはスーツ姿で9日午後3時20分ごろ靖国神社の南門から境内に入り、本殿につながる隣接の到着殿に入った。委員長を務める小林弘樹陸上幕僚副長(陸将)や副委員長の上野和士・装備計画部長、田中仁朗監察官(ともに陸将補)など、少なくとも十数人を確認した。破魔矢を入れた紙袋を持った人もいた。
参拝者たちは午後4時過ぎに到着殿から出てくると、車両や徒歩で防衛省に戻った。
移動に際して、小林氏が公用車を往復で使用したほか、上野氏が往路で公用車を使用したのを確認した。境内には案内担当が配置され、参拝の動線が書かれた地図を見ながら、幹部を出迎えたり誘導をしたりしていた。
防衛省などによると、参拝は「年頭航空安全祈願」と称して計画、実行されていた。参加者はこの日の午後、時間休を取得していた。玉串料は各部担当を通じて1人あたり2000円を徴収していたという。
防衛省はこれまでの聞き取り調査で参拝者から「参加の強制はなかった」という説明を受けているが、実施計画が作成されていることなどから、部隊での参拝に該当する可能性があるとして、さらに聞き取りなどをして調査を進める。
同省関係者によると、参拝関連で作成された文書には、保存期間や文書管理者の名前が入ったものがあり、行政文書に該当する可能性が高いという。
◇内部文書、参拝の組織性示す
水島朝穂・早稲田大教授(憲法学)の話 今回の靖国参拝を巡って作成された内部文書の存在は、組織性を示している。特に、玉串料が陸上幕僚監部の各部担当を通じて個々人から徴収された形をとれば、組織としてまとめて靖国神社に納める形となる。陸自幹部の私的な参拝の集合と見なすことは困難だ。また、航空事故の防止、つまりは昨年4月のヘリコプター墜落事故で亡くなった隊員たちを靖国神社で追悼する意味合いも込められていると考えられ、宗教的な意義がないとはいえない。
【松浦吉剛、大場弘行、春増翔太、千脇康平、源馬のぞみ】
|
![]() |