( 127802 )  2024/01/12 12:56:02  
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 2023年12月の毎日新聞世論調査では内閣支持率が16% と、各メディアで発足以来最低を更新し続けている岸田文雄内閣。国際政治アナリストで日本の税制にも詳しい渡瀬裕哉氏は「岸田政権は今こそ復興減税すべきときだ」と説くーー。 

 

 2024年1月1日、能登半島を中心に襲った大地震は多大な被害を同地域にもたらした。現在も余震が続いており、一瞬たりとも気を抜くことができない状況が継続している。 

 

 官民問わず、災害の救済及びインフラ復旧に向けた取り組みを実施しており、彼らの懸命な努力を行う姿には素直に頭が下がる。 

 

 1月5日、岸田首相は2023年度予備費残4600億円及び2024年度予備費5000億円を能登半島地震への対応に支出する方針を示した。災害規模は現状ではまだ確定していないものの、1兆円近い予算投入を早々に決定したことについては一定の評価はできる。一方、野党の一部には2024年予算ではなく、1~3月で新たな補正予算を組むべきとする主張もあり、被災支援の財源については一定の議論が残っている。 

 

 ただし、いずれの場合においても、早晩、政治家、役人、その関係者が復旧・復興に絡めた公金支出に利権を求めて群がることになるだろう。そのような光景は東日本大震災時にも見られたことだ。 

 

 岸田政権は内閣支持率も低下し、その支持基盤が揺らいでいる状態だ。そのため、弱い内閣総理大臣に対して、ここぞとばかりに利権集団が集(たか)ることは容易に想像がつく。 

 

 また、岸田政権は昨年末に突如として打ち出した所得税定額減税によって、予算策定を牛耳る財務省との関係には亀裂が入っている。 

 

 したがって、岸田政権が今月に始まる通常国会での質疑を乗り切るために、様々なバラマキ財源の支出と引き換えに、財務省と妥協した「復興増税」の拡大・延長を新たに秘密裏に妥協する可能性もゼロではない。岸田首相は上述の予備費支出の他、追加で4月以降に補正予算を組むことを示唆しており、その線も十分にあり得る話だ。 

 

 当初の復旧作業にはインフラ投資予算は必要ではあるものの、その後の復興過程において、腐敗者たちによる中抜きを可能な限り防止していくことが望まれる。 

 

 

 
 

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