( 127952 )  2024/01/12 22:11:02  
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救急搬送を巡って県東部消防局との関係が悪化している鳥取県立中央病院(鳥取市江津で) 

 

 鳥取県東部で唯一の「3次救急医療機関」に指定されている県立中央病院(鳥取市)と県東部消防局との関係が、救急搬送を巡って悪化している。昨年末には同病院の医師が、救急救命士に特定の救急救命処置を行うための指示を出すことを一時拒否。消防側は病院医師から搬送時にパワーハラスメントを受けてきたと訴え、病院側に調査を要請する事態となっている。(藤本綾子、山内浩平、中島高幸、藤本幸大) 

 

 同病院は重篤な患者を受け入れる3次救急病院として鳥取市など1市4町(人口約22万人)を担当し、3次救急のない県中部からも患者を受け入れている。 

 

 県東部消防局などによると、昨年12月5日、同病院救急集中治療科部長が同消防局担当者に、搬送時の救急救命処置「特定行為」の指示に関する救急救命士からの要請を受け付けない旨のメールを送信。10日間にわたって指示要請を拒否した。この間、いったんは要請を受け入れるとしたが、搬送時になって病院側が要請を断ったため、救急救命士は他の2次救急病院の医師の指示を受けつつ、中央病院に運んだケースが複数あった。 

 

 これに対し、医療・消防関係者から「患者のスムーズな受け渡しに支障が生じる可能性があり、要請拒否はありえない」などと批判の声が上がり、広岡保明院長は消防など関係先に謝罪したうえで、28日に「指示要請に応じなかったのは大変不適切な行動だった」とのコメントを病院のホームページに掲出した。 

 

 広岡院長によると、部長は拒否の理由について、搬送時の手順を取り決めた県の「プロトコル」の内容が不十分で、これを基に指示を出すことは責任が取れないと説明。同プロトコルは国のたたき台を基に、医師や消防関係者らで構成する県の協議会が作成し、中・西部も同じものを使っているが、運用に不都合は生じておらず、県消防防災課は「内容や記載に問題はない」と反論する。 

 

 一方、消防側は12月中旬、要請拒否期間に中央病院へ救急患者を搬送した際、病院医師らからパワハラ行為を受けたとして、医師や消防関係者でつくる組織名で病院に調査を要請した。関係者によると、搬送時に患者の情報を電話で伝えようとすると、話の途中で切られたほか、ストレッチャーからベッドに移す際に医師や看護師に手伝うそぶりがなかったり、大声で伝えたことを再度聞かれ、先ほど伝えたと話すと「聞こえないのは意味がない」と言われたりしたとしている。 

 

 

 
 

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