( 128495 )  2024/01/14 13:52:03  
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松本人志(C)日刊ゲンダイ 

 

【「表と裏」の法律知識】#217 

 

 2024年に入るや、能登半島地震が発生し、羽田空港で日本航空機が海上保安庁の航空機と衝突し、炎上するといったニュースが飛び込んできています。 

 

松本人志“活動停止ショック”で右往左往…テレビ業界で囁かれる「ダウンタウン冠番組消滅」と「引退」の見方 

 

 その中でも、今、メディアを騒がしているのは、ダウンタウンの松本人志氏の性加害疑惑といってよいでしょう。この問題は、23年の年末の「週刊文春」による「松本人志と恐怖の一夜」と題した特集から始まりました。現在、松本人志氏は芸能活動を休止することを宣言。さらに、週刊文春に対し名誉毀損を理由に損害賠償を求める訴訟を提起するものとみられています。松本人志氏の裁判ともなれば、多くの方が裁判の傍聴を希望するため、傍聴席が足りず、高倍率の抽選となるのではないでしょうか。 

 

 名誉毀損を理由とする慰謝料は、通常、数十万円から100万円程度になることが多く、加害者への制裁となるような高額な賠償が認められていないのが実情です。もっとも、松本人志氏は7本のレギュラー番組などを抱えていたわけですから慰謝料だけでなく、今回の記事によって、番組やCMの出演を取りやめざるを得なくなったとして多額の営業損害なども請求するでしょう。その額は、過去最高額級になるかもしれません。 

 

 この裁判で文春の責任が認められるか否かは、記事の内容が真実であるか否か、また、記事にした内容を真実だと信じるのが相当といえる程度に週刊文春側が取材を尽くしたといえるか否かによることになります。 

 

 この事実関係を明らかにするために、松本人志氏本人、性被害を受けたと主張している女性、松本人志氏と共にいたとされる芸人の方々ら相当多くの方が、証人として裁判所に行くことになると思います。 

 

 ところで、このトラブルでは注意しなければならないことがあります。それは、性暴力被害を告発した人がネットなどで特定され私生活が暴かれたり、誹謗中傷されるといった2次被害の問題です。こうした2次被害の加害者も刑事罰を受け、また多額の賠償請求を受ける可能性がありますから、何げない投稿やリプライなどには常に気をつけなければなりません。 

 

(髙橋裕樹/弁護士) 

 

 

 
 

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