( 128550 ) 2024/01/14 22:15:34 0 00 被災者から「快適」と評判の「トレーラートイレ」=12日、石川県珠洲市(梶原龍撮影)
最大震度7を観測した元日の能登半島地震で、被災者に快適なトイレ環境を整備しようと、千葉県茂原(もばら)市の企業が所有する移動式トイレ「トイレトレーラー」2台を石川県珠洲(すず)市内に設置した。社員が現地に泊まり込み、水の補充や配管の確認など維持管理も担う。温水洗浄便座などの機能も整っており、被災者からは感謝の声が上がっている。
【写真】温水洗浄機能も備えた「トレーラートイレ」の便器
トイレトレーラーは全長20フィート(約6メートル)で、男女、多目的トイレの計3つに分かれる。排泄(はいせつ)物が入るタンクは1度の交換で約5千回分が使用可能。発電機を搭載し、照明や冷暖房を完備するほか、便器には温水洗浄機能もつく。多目的トイレは介護が必要な人も使える広さで、おむつを交換できるスペースもある。
トレーラーは5日、珠洲市の宝立小中学校と緑丘中学校の2カ所に設置された。利用した60代女性は「来たときは涙が出るかと思った」、60代男性は「お尻を洗えることがうれしい」と笑顔を見せた。多目的トイレを利用した女性からは「中が広くて利用しやすかった。本当にありがたい」との声もあった。
トレーラーを提供したのは、茂原市の自動車販売会社「オートウィル」。同社は新型コロナウイルス禍を機に、2年ほど前に1台千数百万円のトレーラーを4台購入した。災害などへの備えを念頭にしているが、祭りなど地域イベントで使用することもあるという。
昨年9月、茂原市で記録的豪雨で浸水被害があった際、全国から支援を受けた。同社代表取締役の飯田克美さん(54)は、能登半島地震の発生後、「何かできないか」と支援を模索していたところ、千葉県を通じてトレーラー2台を被災地に提供することになった。
4日夕方に茂原を出発し、地震で崩れた道を約20時間かけて珠洲に到着。被災者がトイレを24時間利用できるよう、3人の社員が別のトレーラーに寝泊まりしながら、発電機の操作や燃料の補充、配管の詰まりなどに対応している。
社員の鈴木雅晴さん(49)は普段、観光バスなど大型バスの運転手だが、6日から泊まり込みでトイレトレーラーの維持管理に携わる。「被災された方は自分たちよりも厳しい環境。やれることを全部やるだけ」と疲れを見せない。5日に現地入りした土屋敏(さとし)さん(49)も「みんなに感謝された。せっかくなら水道が復旧するまでいたい」と力を込める。
移動式のトイレは各地で設置が進むが、詰まりなどに対応できず、すぐに使用不能になることが多いという。鈴木さんは、トイレの保守管理を「やり続けることが使命」と話し、被災地のために今後も尽力していくことを誓った。(梶原龍)
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