( 128708 )  2024/01/15 12:22:27  
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Xさんは会社から一方的に解雇された後、離職票を受け取り、そこに自主的な退職と書かれていたことに驚きました。

その後、Xさんは会社を訴え、全面勝訴しました。

裁判所はXさんの主張を信用し、会社の上司がXさんに解雇を告げたことを認定しました。

また、離職票の記載には異議があり、Xさんは損害賠償を求めました。

(要約)

( 128710 )  2024/01/15 12:22:27  
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会社から一方的に解雇されたのに… 

 

解雇されたXさん。その後、会社から届いた離職票を見て驚愕(きょうがく)! そこには「労働者の個人的な事情による離職」と書かれていたからです。いや・・・解雇されたのよ。 

 

Xさんが提訴。解雇は違法だし、離職票へのウソの記載も違法だ、と主張して損害賠償請求訴訟を提起しました。結果はXさんの全面勝訴。(ビッグモーター事件:水戸地裁 R5.2.8) 

 

上司はXさんに「俺が今日ここに来た意味分かるよね? クビで。ということなんでさっさと荷物をまとめて帰ってください」と言ったと認定されています。 

 

以下、わかりやすく解説します。(弁護士・林 孝匡) 

 

※ 争いを簡略化した上で本質を損なわないよう一部フランクな会話に変換しています 

 

■ 会社 

・ビッグモーター株式会社 

(自動車等の販売や修理、解体などを行う会社) 

 

■ Xさん 

・車両整備士 

 

▼ 工場長が不満を持つ 

発端は、Xさんと工場長とのトラブルです。工場長が就任する前からXさんは、整備部門で修理工程の作成や工程の管理を実質的に取り仕切っていたのです。 

 

工場長が就任したあとも、他の従業員や車検の受付などを担当する女性従業員は、Xさんの指示に従うことが多く、工場長は不満がたまっていきました。 

 

「自分の意見が聞いてもらえない...」「阻害されている...」と感じた工場長は、エリアマネージャーに相談しました。 

 

▼ 面談 

エリアマネジャーと工場長はXさんと面談を行いました。両名からは、Xさんが自分の仕事を他の従業員に手伝わせる、車検の台数制限を行うなど、社内のルールを守っていないように見えたようです。 

 

▼ どんな話し合いがあったか 

Xさんの主張は、「工場長から呼び出されて部屋に入ったところ、エリアマネージャーから『俺が今日ここに来た意味分かるよね?クビで。ということなんでさっさと荷物をまとめて帰ってください』と言われた」というものです。 

 

このXさんの主張を裁判所は全面的に信用しています。具体的には「他の事実と整合しており、面談時やその後の経緯に照らして不自然な点はなく十分合理的」と判断しました。 

 

▼ 退職届は書きません 

エリアマネージャーはXさんに「退職届を提出するよう」伝えました。しかし、Xさんは「自主退職ではないので退職届は書けない。弁護士に相談する」と答えて退室しました。 

 

▼ 帰りなさい 

面談の後、Xさんは店舗内で仕事をしていましたが、工場長から「帰るよう」指示を受けて退社。以後、出勤していません。 

 

その後、エリアマネージャーは従業員との面談で「Xさんはクビだからもう出社することはない」と伝えました。そして会社は、Xさんが会社の基幹システムにアクセスできないようにする遮断措置を行いました。 

 

▼ 退職手続き 

その後、会社はハローワークに離職証明書を提出。ハローワークから離職票をもらい、Xさんにメールで送信しました。 

 

▼ 離職票には驚愕の記載が! 

離職票を見てXさんは驚きます。解雇されたと思っていたのに、自主的に退職したかのように書かれていたのです。記載は以下のとおりです。 

 

・離職理由:労働者の個人的な事情による離職 

・具体的時事情記載欄:一身上の都合により 

 

しかも事業者が記入した、離職理由に関する異議の有無については「ナシ」と記載されていました。異議ありまくりだっつーの。 

 

Xさんは損害賠償請求訴訟を提起しました。 

 

 

 
 

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