( 130714 ) 2024/01/20 14:23:43 0 00 宮澤喜一首相(当時)は「政治目的に使われなかったものは雑所得」と明言(C)日刊ゲンダイ
自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で、東京地検特捜部が政治資金規正法違反罪(虚偽記入)で、最大派閥「安倍派」(清和政策研究会)と「二階派」(志帥会)の会計責任者を在宅起訴、「岸田派」(宏池会)の当時の会計責任者を略式起訴する見通しとなったが、この事件はまだまだ終わってはない。政治資金規正法の罪は問えなくとも、所得税法違反(脱税)の可能性は残っている。
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とりわけ悪質なのは、派閥のパーティー券販売のノルマ超過分を収支報告書に記載しなかったばかりか、派閥に納入せずに「中抜き」していたケース。報じられているだけでも、「安倍派」所属の下村博文元文科相(69)が約500万円、丸川珠代元五輪相側(52)が約700万円、宮澤博行前防衛副大臣(49)が114万円をそれぞれ、「中抜き」していたことが分かっている。
「政治団体」に係る収支は課税対象から外れるものの、集めたカネを「中抜き」して手元にプールしていたカネは果たして「政治資金」と言えるのか。
■宮澤喜一首相も国会で「政治目的に使われなかったものは雑所得」と
ここが大きなポイントで、2010年2月5日の衆院予算委でも、自民党の伊吹文明氏(86・元衆院議長)がこう質問していた。
「裏金と政治資金は違うんですよ。裏金は、個人の雑所得としてすべて課税されちゃうんですよ、脱税として。ところが、政治資金として受けたら、量的規制違反という政治資金規正法上の違反は成るんだけれども、税務上は課税されないんですよ、幾らになっても。だから、このあたり、何に使われたどうだとかということをしっかりと私は詰めてもらいたい」
これに対し、国税庁次長はこう答弁していた。
「一般論としてお答えいたしますが、政治家の方個人が提供を受けた政治資金については、所得税の課税上、政治家の個人の雑所得の収入金額として取り扱っております。例えば、この場合に、所得税法上、収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わず、現実に収入を得ている場合には、これにより生ずる所得が課税の対象とされており、政治資金規正法に違反するものであっても、それにより所得が生じていれば課税されることになります。ただ、団体に対して、政治資金団体に係る収支については、課税の対象から除外されることになります」
つまり、ケースバイケースではあるものの、政治活動以外に使ったカネは課税所得の対象になる。1993年3月23日の衆院大蔵委でも、当時の宮澤喜一首相が「理屈で言えば、入りました政治資金のうち、政治目的に使われなかったものは雑所得になる」と明言している。
「中抜き」が報じられている国会議員はプール金を何に使ったのか。国税が支出の明細や領収書の提出を求めれば、すぐに判明するだろう。
裏金事件の真相解明はこれからが本番なのだ。
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