( 131291 )  2024/01/22 13:39:04  
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郷田隆史さん(仮名)/3年前まで、製造会社の正社員だったが、コロナで失職し、それが理由で離婚。子供の養育費を払うためバ畜となる 

 

 若者たちの間で広がった“バ畜”という言葉。社畜のように、バイトで身を粉にして働く状況を指すというが、より一層切実なのが“中年バ畜”だ。ブラックな職場から抜け出せない、中年フリーターたちの絶望とは――? 

 

 現在52歳の郷田隆史さん(仮名)は、3年前から都内の24時間営業の飲食チェーンで働く中年フリーター。時給1600円で、月50万円以上稼ぐが、「とにかく人手が足りなくて辛い」と嘆く。 

 

「最近は若者どころか、1~2年前までは大勢いたベトナム人も辞めていくありさまで、深夜帯はワンオペにならざるを得ません」 

 

 郷田さんは10卓以上ある店内で調理から会計まで1人でこなし、バイトにもかかわらず売り上げの入金まで行う。 

 

「ワンオペのときは、客の入店音を聞き漏らさないよう、用を足すときもトイレのドアは全開。店内には本社に直接連絡できる緊急用ボタンがあるのですが、券売機が故障したときも、酔っぱらいに絡まれたときも、ボタンを押してもまったく応答がなかった。頼りになんてなりません。最近は水道が壊れて本社に修理依頼を出しましたが、放置されてかれこれ1か月は水が出っぱなし。末期状態です」 

 

 郷田さんのシフトは21時から朝9時まで。しかし、交代の時間になっても次のバイトが来ず、昼過ぎまで働くこともザラだという。 

 

「28連勤した後、2日間体調不良で寝込み、そのあとまた28連勤する……というのがここ半年のサイクル。3年前に離婚しているので、娘の養育費を稼ぐために今はバイトのシフトを入れまくっています。体はボロボロですが、僕が死んでも保険金が残るからまあいいかなって」 

 

 せめて、ワンオペだけでも解消されるよう願うばかりだ。 

 

取材・文/週刊SPA!編集部 

 

―[[絶望の中年バイト]職場ルポ]― 

 

日刊SPA! 

 

 

 
 

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