( 131356 ) 2024/01/22 14:36:35 0 00 写真:LIMO [リーモ]
「高収入世帯であれば貯蓄も多い」とイメージしている人も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、世帯年収が1000万円以上でも「貯蓄ゼロの世帯」は存在します。
【貯蓄事情を一気に見る】収入の何パーセントを貯蓄に回しているものなの?年収1000万円以上でも「貯蓄ゼロ」の世帯は少なくない?!
本記事では、各世帯年収ごとの平均貯蓄割合について紹介していきます。
「世帯年収の平均額」や年収別における「収入からの貯蓄割合」についても紹介しているので参考にしてください。
※編集部注:外部配信先ではハイパーリンクや図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
まずは、世帯年収の割合と平均額を見ていきましょう。
厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯年収の平均は545万7000円、中央値は423万円となっています。
平均値は「全てのデータを足したあとにデータ数で割った値」である一方、中央値は、対象となるデータ順に並べ、中央にある値を指しており、一般的な貯蓄額の実態をしりたい方は中央値を参考にすることをおすすめします。
一般的な世帯年収は「400万円台」となっており、高年収になるにつれて、その割合も低くなっています。
なお、6割以上の世帯が平均所得金額以下となっており、ボリュームゾーンは「年収200万円~300万円」となっています。
年収が高いほど、その分貯蓄に回しやすいことから「高収入=貯蓄も多い」とイメージしている方も多いかと思いますが、実際はどうなのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」によると、二人以上世帯における各年収ごとの貯蓄割合は下記の結果となりました。
上記グラフをみると、貯蓄1000万円~2000万円を保有している割合は意外にも各年収で一定数存在していることがわかります。
しかし、貯蓄2000万円以上になると、高収入の世帯の割合が一気に増加します。
上記をみると「やはり年収が多いほど貯蓄がしやすい」と思ってしまいますが、必ずしもそうとは限りません。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」における、各年収ごとの金融資産非保有割合は下記の結果となりました。
上記グラフをみると、各年収で貯蓄ゼロの世帯が存在することがわかります。
年収1000万円以上の世帯でも、約1割は貯蓄ができておらず、高収入の世帯においても貯蓄格差が生じている現状がみてとれます。
●手取り収入からの貯蓄割合 前章にて、どの年収世帯においても貯蓄格差が生じていることがわかりました。では、手取り収入から何パーセント貯蓄に回しているのでしょうか。
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」によると、各年収別の世帯において手取り収入からの貯蓄割合は下記の結果となりました。
各年収別の世帯において、5~15%程度を収入から貯蓄に回していることがわかります。
その一方で、どの年収世帯でも「貯蓄をしなかった」が一定割合を占めており、年収1000万円以上の世帯でも1~2割が収入を貯蓄に回していません。
年収1000万円以上もあれば、貯蓄がしやすいイメージがありますが、なぜ貯蓄ゼロの世帯が存在したり、収入から貯蓄に回していない世帯がいたりするのでしょうか。
次章で詳しく解説していきます。
前章で紹介したように、年収が高いと貯蓄が多いイメージがある一方で、実際には年収1000万円以上でも貯蓄がゼロの世帯も存在しています。
ではなぜ、高年収世帯でも「貯蓄ゼロ世帯」が存在するのでしょうか。
理由はさまざまですが、「所得税の高さ」と「所得制限の対象になること」が要因として挙げられます。
日本の所得税は、収入が多いほど所得税の負担が大きくなる「累進課税制度」となっています。
配偶者の有無や世帯の状況によって控除額が変わるため税金額に変動がありますが、たとえば年収300万円の人と、年収1000万円の人では税金負担が20%以上も違うのです。
年収が高くなればなるほど、税率が33%や40%、45%と増え続けるため、年収が高くなっても実際の手取り額は思ったよりも増えないケースが出てきます。
また、年収が高いと制度によっては所得制限の対象となるため、制度やサービスが受けられないこともあります。
そのため、年収の低い世帯と比較すると、教育や子育てなどで負担が大きくなるのだとうかがえます。
上記のことから、年収は高くても税金負担が大きかったり、他の部分で消費するお金が多かったりすることから収入を貯蓄に回せない世帯が一定数存在するのでしょう。
本記事では、各世帯年収ごとの平均貯蓄割合について紹介していきました。
世帯年収が1000万円以上の世帯でも、貯蓄額に格差が生じており、約1割の世帯は高収入にもかかわらず貯蓄ゼロとなっています。
所得税が高く、所得制限の対象になりやすいことから、世帯年収が高くても貯蓄が少ない世帯が一定数存在しています。
年収額に関係なく、家計状況を見直し資産をしっかり管理することは、貯蓄をするうえで重要になるため、今回の調査データで「我が家はあまり貯蓄できていない」と感じた方は、今一度家計の見直しをしてみると良いでしょう。
・厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和3年以降)」 ・国税庁「No.2260 所得税の税率」
和田 直子
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