( 131999 ) 2024/01/24 14:34:14 1 00 サイゼリヤは、スマートフォンを使用してQRコードを読み取り自分で注文する新しい方法を導入している。 |
( 132001 ) 2024/01/24 14:34:14 0 00 どんな注文方法なのか
サイゼリヤが新しい注文方法を導入している。これまでは、各テーブルに置いてある注文用紙に利用客が番号を記入して店員に渡すスタイルだったが、どのように変わったのだろうか。筆者が都内の店舗で体験した内容を交えながら解説する。
【画像】サイゼの新しい注文方法(全9枚)
入店後、店員に案内されてテーブルに移動すると、長方形の小さな札を見つけた。札には「いらっしゃいませ」「テーブル番号24」「注文用QR」といった情報が記載されている。見た目は、小売業界で導入が進んでいる電子棚札(画面が電子ペーパーになっており、価格などをリアルタイムに変更可能)に似ている。「この小さな札は何だろう?」というのが最初に見たときの感想だ。
テーブルの上には、いつものメニューブックに加えて「セルフオーダー ご注文方法」と書かれたシートが置いてある。このシートによると、利用客の持つスマートフォンのカメラで、札に表示されたQRコードを読み取り、自分で注文する方式だという。なお、口頭での注文を希望する場合は、テーブルにあるベルでこれまで通り店員を呼び出せばよいとしている。
早速、自分の持っているスマホで注文用QRコードを読みとってみた。テーブルの利用人数を入力すると「メニューブックから番号を入力してください」という指示が。メニューブックを開き「5103」と入力したところ、「単品ドリンクバー」というメニュー名と「次へ進む」ボタンが同時に出現した。
単品ドリンクバーを注文かごに追加した後は、次の注文をどんどん記入していく。一通り希望するメニュー番号を入力し終わったら、正式な注文ボタンを押す。
注文を終えてしばらくすると、店員が注文したサラダやスパゲティを持ってきてくれた。追加で注文したい場合は、スマホの画面にある「注文追加」を押す。注文履歴の参照だけでなく、店員呼び出しもスマホで可能だ。
複数人で利用する場合、それぞれのスマホから注文できる。各人の注文内容は最終的に1つの会計伝票にまとまる仕組みだ。
食事が終わったら、スマホの「会計する」を押す。画面上に表示されたバーコードをレジでスキャンしてもらい、支払いをする。なお、テーブルには、これまでと同様に紙の伝票も運ばれてくる。伝票のバーコードをレジに持って行くことも可能だ。
スマホで「会計する」ボタンを押した後、筆者はあることに気付いた。テーブル上のQRコードを読み取る札が急にチカチカと点滅し始めたのだ。しばらくすると、QRコードは消えて「お会計を確定しました」「スマホに表示されたバーコードをレジでお知らせください」という表示に切り替わった。
レジで支払いをした後、食事をしていたテーブルに戻ってみた。すると、札はまたチカチカと点滅し始め、入店時と同じ表示に戻ったのを確認できた。
筆者は以前、ビックカメラで導入を進めていた電子棚札を取材したことがあるが、基本的な仕組みは同じように感じた。札がネットにつながっており、情報がリアルタイムで更新される点が共通している。
サイゼリヤの広報担当者によると、スマホで注文する方法を導入し始めたのは2023年の冬頃だという。現在、新方式の導入を進めているフェーズであり、紙による注文方式と入れ替わっている最中だ。新方式の狙いについては「お客さまが注文したい時に注文できるなどの便利さ、注文作業時間の削減、低投資などの効果を見込んでいます」と説明する。「低投資」というのは、他の外食チェーンで見られるような注文専用のタブレットが必要ないといったことを指していると考えられる。
これまでの注文方法と比べて、店員の動きにはどういった影響が出るのか。筆者が気付いたことをいくつか挙げてみる。
これまでは、注文用紙にメニュー番号を記入した後、ベルで店員を呼ぶ必要があった。注文用紙を受け取った店員は、間違いがないように、記載内容を利用客の前で復唱する。新方式では、こうした一連の動きが全て不要になる。
筆者はサイゼリヤのヘビーユーザーだが、店内が騒がしい時や、一緒のテーブルに座っている人と会話している時に、店員が復唱した内容をしっかり聞き取れないことがあった。そのため、間違った注文内容が伝わってしまったことが何度かあったが、そうしたミスもなくなると感じた。
店内が混雑していると、ベルを押してから店員が自分のテーブルに来るまで時間がかかるだけでなく、“わざわざ”呼びつけるような申し訳なさを感じることもあった。そうした後ろめたさがなくなった。
細かい要望も気軽に伝えられるようになった。現在のメニューブックをみると、デザートの「イタリアンジェラート」欄に「(すぐに)3205」「(あとで)3905」という2つの番号が並んでいる。すぐに食べたい場合は3205をスマホで入力し、食事が一通り済んだ後に提供してもらいたい場合は3905を入力する仕組みだ。こうすることで、店員による「デザートの提供はどうしましょうか?」という確認が不要になる。
以上が、筆者の体験したサイゼリヤの新しい注文方式だ。全体的に、注文ミスが減るだけでなく、店員の業務負担を減らす仕組みになったように感じた。
利用客のスマホから注文する方式は、他の外食チェーンでも見られる。例えば、くら寿司ではコロナ禍でも安心して来店してもらうため、テクノロジーを駆使した非接触型の注文方法を導入した。店内のタッチパネルに触れることなく、自身のスマホから各種メニューを注文できる仕組みだ。
サイゼリヤの新しいDXの取り組みは、利用客の支持を得られるか。
ITmedia ビジネスオンライン
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