( 132175 )  2024/01/25 00:08:50  
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全国区になった恵方巻への本音は? 

 

 節分が近づいてきた。今やすっかり全国的に認知されるようになった「恵方巻」は、コンビニやスーパー、デパートなどで予約がスタート。2月3日の当日ともなれば、バラエティーに富んだ恵方巻が店頭にずらりと並ぶ。 

 

【写真】恵方巻きを無言で丸かじりする女性 

 

 元は関西を中心とした季節の行事だが、なかには“恵方巻きを食べる”というイベントに違和感を覚えるようになった人もいる。“恵方巻離れ”した人たちに、その理由を聞いた。 

 

 金融機関勤務の40代男性・Aさんは、関東生まれ関東育ち。「恵方巻にはどうも馴染めなかった」と明かす。 

 

「恵方巻が“全国区”になったのは私が大人になってからのように思います。コンビニやスーパーで大売出ししているのを、ブームとして受け止め、なんとなく買ってきました。でも、ふと考えたら別にその歴史や由来もよくわかっていないし、食べなきゃいけないものでもないような気がしてきて……」 

 

 物価高の影響もあり、昨年、恵方巻は「わざわざ買わなくてもいい」と感じるようになったAさん。「今年は買わず、食べもしない予定」だという。 

 

「恵方巻は、縁起物だとしても高いように思えてきたんです。普通のものでも1000円を超えるものが多いし、具が海鮮や肉など豪華仕様のものだと2000円や3000円するものもあります。そこまでテンションが上がるものでもないし、私の生活には不要だという判断をしました」(Aさん) 

 

 メーカー勤務の30代女性・Bさんは東北出身。家で恵方巻を食べる習慣はなかったが、「社会人になって東京で働くようになってから、ノリで買っていた」という。 

 

「恵方巻シーズンになると、ロールケーキのようなスイーツにも“恵方”をうたい、棒状のものが登場するのが面白いなと思っていて、毎年、節分が近づくと恵方ネタをチェックしていました。 

 

 特に節分や恵方巻に思い入れがあるわけではありませんが、期間限定メニューのようなもの。牛肉を巻いたものとか、工夫を凝らした恵方巻を見ているのも楽しかったんです」 

 

 しかしBさんは、気づいてしまった。 

 

「恵方巻って、恵方を向いて1本丸かじりするものなんですよね。しかも関西出身の友人に言わせると、“食べている最中に喋ると福が逃げるから、黙って食べなくてはいけない”とのこと。 

 

 無言で1本丸かじりは無理。さらによくよく調べると、本来は具材も“七福神”にちなんだものなのに、全然関係ない具の恵方巻を食べてご利益も何もないような気がしてしまいました……。それ以来、私のなかで恵方巻は終了しました」(Bさん) 

 

 

 IT企業勤務の30代男性・Cさんは、関西出身。恵方巻に馴染みはあるが、このシーズンになると、学生時代のバイト先での「大量廃棄」を思い出すと苦笑いだ。 

 

「関西から、大学で東京に出てきました。その学生時代にコンビニでバイトしていた頃は“ノルマ”があって、バイトでも積極的に買うように促されていたんですよね。関東で恵方巻というのも不思議だったし、結局大量に廃棄される恵方巻を見て悲しくなったのがもはやトラウマ。今は買う気にも食べる気にもなれません」 

 

 SDGs(持続可能な開発目標)を意識する風潮が強くなった今、Cさんは「恵方巻も見直す時期ではないか」と主張する。 

 

「SDGsをうたう企業が、恵方巻で食品ロスを出している矛盾がある気がします。かといって、廃棄がもったいないからと節分当日の夜に半額になっている恵方巻の姿を見るのも悲しい気持ちになってしまいます。縁起物が半額ってどうなんでしょうか……。 

 

 企業側は商機かもしれませんが、もう数量限定で売り切り御免みたいなスタイルでもいいのでは」(Cさん) 

 

 恵方巻を楽しみにしている人も多いだろうが、その陰で“恵方巻離れ”する人たちもいる。一気に全国区になった恵方巻の風習への戸惑いの声も聞こえてきた。(了) 

 

 

 
 

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