( 132614 ) 2024/01/26 13:01:19 0 00 アンケートでトップとなった高市早苗氏
最新のANNの世論調査(1月20、21日実施)では、岸田内閣の支持率は20.4%と政権発足以降最低となった。政府・与党は26日にも通常国会を召集する見込みだが、自民党の裏金問題などへの岸田文雄首相の対応には党内からも公然と不満の声が上がっており、首相の求心力は急降下している。AERA dot.が昨年12月に実施した「次の首相にふさわしい政治家ランキング」では石破茂氏がトップとなったが、「女性がトップになって今の政治を一新してほしい」という声も少なくなかった。そこで、今回はアンケートの第2弾として“女性政治家編”を実施。ランキングには意外な“ダークホース”の名前も浮上した。
【写真】2位に急浮上した「ダークホース」はこの人
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年末年始(12月26日~1月3日)にAERA dot.がネット上で実施したアンケート「『次の首相』は誰が良い?~女性政治家編~」には、549件(男性357件、女性172件、その他・無回答20件)の回答が寄せられた。設問は2問で、「与野党を問わず、次の首相としてふさわしいと思う女性政治家は誰か」「その政治家を選んだ理由」をそれぞれ記述式でたずねた。
10位の福島瑞穂氏(社民)から5位の辻元清美氏(立憲)までは、主に野党の女性政治家の名前が並んだ。6位には、18日に共産党の新委員長に就任した田村智子氏の名前もある。5位の辻元氏に対しては、「発言に鋭さや明快さとともに温かさも感じる」「汚い事に『ノー』と言える、庶民派です」など、生活者目線のスタンスを支持する声が目立った。
■トップ3はすべて「自民系」
4位となったのは、東京都知事の小池百合子氏。最近も1.6兆円規模の少子化対策や、2024年度からの高校や都立大学の授業料実質無償化など、都知事として多くの目玉政策を掲げてきた小池氏には、「コロナ対策でも早い対応をしてくれたし、東京独自の支援対策もしてくれている」「アイデアがある、実現可能な政策を出し現実的だ」「国会議員よりも対応が早い」などと、実績ベースで評価するコメントが多かった。
一方、トップ3は「政府・自民党系」の政治家で占められた。
3位にランクインしたのは、小泉内閣で外務大臣を務め、「外務省は伏魔殿」など数々の“真紀子節”が注目を集めた田中真紀子氏(元自民党)。80歳となった現在はすでに政治の表舞台からは退いているが、アンケートでは「従来の政治家ではできない構造改革、税金の無駄の削除が可能だと思った」「確信をついたことをストレートに発言する。狡猾な印象がない。世論の支持があれば日本の政治を変えられる予感がする」などと、“変革”を期待するコメントが多数寄せられた。
現役からは退いた田中氏になぜこれほど期待が寄せられるのか。政治ジャーナリストの安積明子氏は「まさに、今の政治に辟易(へきえき)している時代のムードの表れ」と見る。
「現状を打破してくれる“壊し屋”が待ち望まれているのでしょう。回答した人も、今は議員でもない田中さんが、これから本当に日本の総理大臣になるとは思っていないでしょうが、裏金問題をはじめとした自民党の闇にもズバッと切り込んでくれそうな存在として、真っ先に頭に浮かんだのだと思います」
■2位に入った政治家は「鉄の女」の異名
2位に名前があがったのは、63票を集めた現外務大臣の上川陽子氏(自民党)。上川氏といえば、2018年7月、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚をはじめオウム真理教の元幹部13人の死刑執行を命じたことで知られ、“鉄の女”の異名をとる。
アンケートのコメントには「法務大臣としての実績や、国際会議等で臆せず堂々とされている姿から」「英語に堪能で、胆力があり、世界のリーダーに伍していけそうだ」など、安倍内閣・菅内閣時代に務めた法務大臣、そして現在の外務大臣としての政治能力を高く評価する声が多く上がった。
前出の安積氏は、上川氏について「ハーバードの大学院に留学していただけあって、義理人情を重んじるというよりは、アメリカ的なドライさで職務を淡々とまっとうする政治家」としたうえで、こう語る。
「上川さんは、カトリック系女子中高一貫校の出身。カトリックは死刑反対の立場をとっており、過去には死刑執行命令を拒否した法務大臣もいるなか、(オウム真理教元幹部の死刑執行は)思い切ったなと感じました。ただ、自分の職務を果たす胆力がある一方で、自分の国家観を積極的に発信する姿は、あまり見受けられません。言われたことを忠実にこなすという意味で、どこか官僚的な印象も受けます」
アンケートでも「冷静沈着な判断力がある」「安定していて、理論的」などと堅実ぶりを評価するコメントが多く、政治不信が蔓延している今、“やるやる詐欺”ではない確かな実行力が、稀有な魅力に映るのかもしれない。
■高市氏はダブルスコアでトップ
そして2位にダブルスコア(121票)をつけてトップとなったのは、経済安保担当大臣の高市早苗氏(自民党)だった。
票を入れた人のコメントを見ると、「強い日本に導いてくれそう」「既得権益軍団と戦ってくれそう。世襲議員にはない厳しさを持っている」「国を想う強さが伝わるからこそ、領土問題について他国と戦える政治家は高市さんしか考えられない」などと、国力・国益を重視する一貫した姿勢や、パワフルな政治手腕を評価する声がずらりと並んだ。
安積氏も、「目先の問題意識だけでなく、50年後、100年後の日本のビジョンを示せる数少ない政治家の一人」と話す。
およそ10年前のことだが、安積氏が高市氏の先見の明を垣間見たというエピソードがある。当時、日本のサイバー防衛体制は世界に後れを取っており、他国からのハッキングなどの脅威に見舞われていた。そんな中、高市氏は「情報セキュリティー問題はライフワークにしたい」と、いち早く問題意識を口にしていたそうだ。
また高市氏は、官僚が作った答弁資料に自ら筆を入れることでも知られており、安積氏は「自分の言葉で説明できる発信力を備えている点でも、首相の器はあると思います」と評価する。
■女性議員の背後にいる“オジサン”たち
アンケートでは数多くの女性政治家の名前が上がったが、次の首相として最も現実味がある人物は誰なのか。安積氏は「順当にいけば高市氏」と即答した。
「即戦力という意味では高市さん一択です。ただ、なにせ自民党は“オジサン社会”なので、男性を押しのけて前に出るような女性は足を引っ張られる可能性がある。逆に、上の意向に忠実な上川さんは、同じ岸田派の男性議員たちにとって都合の良い存在。岸田政権がいよいよダメになったら、顔をすげかえて上川政権を擁立するのは、現実的な一手です。ただ、その“顔”の背後には、二人羽織のように、たくさんのオジサンたちが控えて腕を伸ばしている姿が容易に想像できます」
日本初の女性首相が誕生し、リーダーシップを発揮できる日は、一体いつ訪れるのだろうか。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)
大谷百合絵
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