( 132619 )  2024/01/26 13:12:05  
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田中真紀子氏 

 

 正月気分が覚めやらない今月8日、東京・文京区の“目白御殿”こと、旧田中角栄邸が焼失した。角栄の長女・真紀子氏は「線香をあげていた」と説明したが、この失火が永田町で意外な注目を集めている。 

 

【写真】「目白御殿」と呼ばれた往時と、火災現場の様子 

 

「昨年12月、真紀子氏は自民党派閥の裏金問題に関する集会を国会内で開いた。各派閥が配布する、氷代やモチ代などの不明朗な金の流れを暴露しましたね」 

 

 と言うのは政治部デスク。 

 

「国会議員には月に130万円の歳費や旧文通費で、およそ230万円が支給されている。原資はすべて税金のため、改革の必要があることは明らか。真紀子氏は“与野党に改革案を提言する”と鼻息が荒かった」 

 

 後日、ユーチューブの番組に登場した真紀子氏は、「嫌でも野党に投票するしかない。そうやって野党を有権者が鍛えるの」と与党批判と政権交代も訴えた。 

 

「火事は彼女が久々に表舞台に登場した直後の出来事。自民党内でも臆測が飛び交い、“線香で豪邸が全焼するか?”“火元は別では”というものから“裏金や機密費などのタブーに触れて政権の怒りを買い、焼き討ちに遭った”との見方を口にする議員までいました」 

 

 田中家を知る永田町関係者が後を引き取る。 

 

「失火にアメリカ政府の関与を疑う声もありました。米政府が公開している機密公電などでは、日中国交正常化や独自の中東外交に取り組んだ角栄を、ニクソン米大統領とキッシンジャー国務長官が強く警戒していたことが分かっている。角栄が失脚するきっかけとなったロッキード事件については“アメリカ政府が仕組んだ”とする説もある。確かに“調子に乗って政権批判をしていると父親と同じ目に遭うぞ”なんて脅しに見えなくもありません」 

 

 もっとも、そんな見方を古参の自民党幹部は「さすがに陰謀論が過ぎるよ」と一笑に付す。 

 

 が、一方で「真紀子の動きは気になる」と警戒感を隠さない。 

 

「最近の真紀子には、政治改革を掲げて小池百合子都知事をはじめ女性政治家らと組んで政権交代を画策しているフシがある。そうでなければ、政界引退状態だった彼女が、このタイミングで国会に出て来るはずがない。一説には、盟友の小沢(一郎)が新進党時代の部下だった小池との間をつないだとも聞くしね」 

 

 自民党のベテラン議員も、 

 

「いまさら小沢や真紀子が出て来たところで、脅威にはならない。ただ、彼らと小池都知事が絡むなら話は別。健康保険証の廃止など失政が続いているところに、裏金問題や能登半島地震の初動の遅れが重なって、岸田政権はノックアウト寸前だから。これに小池らが“ノー”を突きつけたら、政権は大きく揺さぶられる」 

 

 同じ自民党の中堅幹部も警戒モードだ。 

 

「官邸は小池さんと日本維新の会の連携をかなり警戒しています。自民党の体力が落ちているいま、両者が東西で都市型政党を立ち上げれば、次期衆院選での与党の苦戦は必至ですよ」 

 

 他方、党内非主流派の二階俊博元幹事長や菅義偉前総理らが離党し、小池氏に合流する可能性もささやかれる。 

 

「二階さんは小池さんと親しく、菅さんは維新にパイプがある。急所を突く毒舌で定評のある真紀子さんの言動が、野党結集の呼び水になるかもしれません」 

 

 角栄邸は鎮火したものの、火種はいまだくすぶり続ける。 

 

「週刊新潮」2024年1月25日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

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