( 132674 ) 2024/01/26 14:25:05 0 00 photo by gettyimages
2024年1月、暗号資産市場は、悲願だった「ビットコイン現物ETF(上場投資信託)」の誕生に沸いた。
【一覧を見る】運用資産1億円の投資家が保有する115銘柄を一挙公開…!
米証券取引委員会(SEC)は、東京時間1月11日未明、申請が上がっていた資産運用会社11社のビットコイン現物ETFを承認した。ポイントは11社すべてが承認されたことだ。
本来、マーケットの予想は1月が審査期限だったアーク・インベストと有力視されていたブラックロックなど数社が承認され、残りは審査期限である3月に回されるというものだった。ところが、すべてが一挙に承認されたことで大きなサプライズとなったのだ。
2023年6月、資産運用会社の巨人であるブラックロックをはじめとした著名資産運用会社が、ビットコイン現物ETFを続々と申請したことで、ビットコインの価格はじりじりと上昇していた。その承認前日の1月10日には、実に2年ぶりの水準となる680万円を付けた。
承認後は一転して利益確定の売りで、590万円まで下落しているが、徐々に回復しさらなる上昇を目指すと筆者は踏んでいる。今回は、現物ETFの誕生でビットコインがどう変わっていくのかを解説しよう。
ビットコイン現物ETFは暗号資産の未来を切り開くだろう… Photo/gettyimages
現物ETFへの期待感が、直近のビットコインを筆頭に暗号資産価格上昇の原動力となったのは間違いない。発表後のビットコイン価格は、内容がサプライズだったことから瞬間的に上昇したが、結果的に「噂で買って事実で売る」の相場の格言通り、いったん利益確定売りが強まった。
しかし、これは想定内だ。ビットコインは、徐々にその価格を安定させ安心して取引できる金融商品となるだろう。まずは、いまビットコインに起こっている値動きの実態を見ておこう。
現物ETFが加わったビットコイン商品の市場価格は、各市場価格の理論価格(計算上の本来あるべき価格)との間で価格差が生じている。そのため、現在のビットコインの取引の主力は、「裁定取引」であると推測される。
なぜ、価格差が生じるのか。たとえば、ビットコイン市場の草創期(2015年から2017年頃)には、暗号資産交換所によってビットコインの価格が異なっていた。その要因は、各交換所で流動性が大きく異なっていたためで、国内の交換所とビットコインへの関心の高い海外の交換所とは大きな価格差が生まれていた。特に日本と韓国との交換所の価格差は非常に大きかったと記憶している。
こうした価格差を狙った取引が裁定取引である。
裁定取引の仕組みはいたって簡単だ。
価格が高い交換所のビットコインを売って、同じ枚数を価格が安い交換所で買うだけ。各交換所に法定通貨とビットコインを入れておけば裁定取引は人力でも可能だが、この売買スキームをコンピューターシステムで行い、高速取引を繰りかえして利ザヤを積み重ねる。特に、この裁定取引は、市場が未成熟のときに大きな利益を得ることが可能だ。
しかし、こうした価格差は市場に多くの人が参加し、流動性が増えると小さくなる。実際、今回の現物ETFでは初日の売買代金は46億ドル(約6800億円)に上った。2年前にリリースされたビットコインの先物ETFの初日のそれが10億ドルにすぎなかったことを考えると、かなり大きかったのだ。この活発な取引が価格差を小さくし、安定化させる。
つまりビットコイン市場は、現物ETFの誕生で成熟するのだ。
しかも、SECが承認した背景には、値付けに大きな影響力をもつマーケットメーカーが裁定取引によって交換所の価格差の乖離を小さくする設計を講じたことがある。そのため、価格差が生じるのはスタート直後に限定され、早い段階で価格差が解消されていくと筆者は考えている。
よって、ビットコインはどの交換所でも価格が一定となり、安心して投資しやすい環境が整ってきたわけだ。これが、ブラックロックのような大手資産運用会社が現物ETFを作った大きな効果と言えるだろう。ビットコインはいよいよ、誰でも投資できる環境が整ってきたのだ。
では、ビットコイン現物ETF誕生によって今後どのような展開が予想されるのだろうか。もちろん、筆者はさらなる上昇が期待できると考えている。
その理由については後編『荒くれビットコイン、まさかの大反転へ…! ETF化で「1000万円超え」も見えたビットコインが「新NISA銘柄入り」を勝ち取る日』でじっくりと解説していこう。
砂川 洋介(ジャーナリスト)
|
![]() |