( 132906 ) 2024/01/27 05:11:49 0 00 MBSニュース
トーヨータイヤ(旧:東洋ゴム工業)の免震ゴムデータ偽装問題をめぐり、「経営判断の誤りが会社に損害を与えた」として、株主の男性が、当時の取締役4人に対し会社への賠償を求めていた株主代表訴訟。1月26日、大阪地裁は株主側の訴えを認め、取締役らに合わせて約1億6000万円の損害賠償を命じる判決を言い渡しました。
トーヨータイヤ本社(兵庫・伊丹市)
まず、株主代表訴訟のしくみについてです。
株主代表訴訟とは、取締役や監査役らの経営責任を「株主が会社に代わって追及」し、損害賠償を求める訴訟です。
取締役らの違法行為や経営判断のミスなどで会社に損害が生じた場合でも、いわば「馴れ合い」によって会社側が責任追及を怠るおそれがあります。そうしたリスクに備えて設けられている制度です。
いきなり訴訟を起こせるわけではなく、まずは会社に対し損賠請求訴訟を起こすよう求めます。そして、会社がその求めに応じず60日以内に提訴しなかった場合、会社に代わって株主が提訴できるという仕組みです。
株主側が勝訴した場合も、損害賠償金は株主ではなく会社に対して支払われます。
今回の株主代表訴訟に至る、問題の経緯を振り返ります。
免震ゴムとは、薄いゴムと鋼板を交互に積み重ねた構造で、地震時には水平方向に柔らかく変形し、建物の揺れを低減させる装置です。
この免震ゴムをめぐり、トーヨータイヤ(当時の社名は東洋ゴム工業)のグループが、性能データを偽装したうえで国の認定を取得するなどしていた問題が、2015年に発覚。
当該の免震ゴムが設置されていた150棟以上の建物が、建築基準法上の「違反建築物」となる事態になりました。
さらに、不正の疑いが前年の2014年にはグループ内部で指摘されていたのに、経営判断が遅れるなどして出荷が継続されていたことも明らかになり、大きな批判を呼びました。
このうち、枚方寝屋川消防組合の新庁舎(枚方市)への免震ゴム出荷をめぐっては、取締役らが出席する会議で、2014年9月にいったん出荷を取りやめ、国土交通省に問題を報告する方針が確認されたものの、直後に方針が撤回され、出荷が実行されました。
その後、新庁舎の免震ゴムはすべて取り換えられましたが、庁舎の運用開始は半年以上もずれ込みました。また、トーヨータイヤ側が負った免震ゴムの交換費用や、組合側に支払った損害賠償金は、合計で2億5千万円以上にのぼりました。
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