( 132996 )  2024/01/27 14:56:28  
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強制不妊手術を巡って国に損害賠償を命じた大阪高裁判決を受け、「逆転勝訴判決」と書かれた紙を掲げる原告側弁護団の弁護士ら=大阪市北区で2024年1月26日午後3時3分、高良駿輔撮影 

 

 旧優生保護法(1948~96年)に基づく不妊手術を強制されたとして、大阪府内に住む70代の夫婦が国に計2200万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、大阪高裁であった。阪本勝裁判長は、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する「除斥期間」の適用を制限。除斥期間の経過を理由に請求を退けた1審判決を変更し、国に計1320万円の支払いを命じた。 

 

【図説】旧優生保護法を巡る各裁判所の判断 

 

 全国12地裁・支部で起こされた同種訴訟で8件目の高裁判決で、原告勝訴は6件目。残る2件は除斥期間を適用するなどして請求を退けている。最高裁が今後、国の賠償責任の有無などについて統一判断を示す見通し。 

 

 今回の訴訟の原告はともに聴覚障害があり、妻が74年に不妊手術を受けさせられた。この日の判決は旧法について、子を産み育てる権利を保障した憲法13条や「法の下の平等」を定めた憲法14条に反すると判断。除斥期間もそのまま適用するのは「正義・公平の理念に反する」とし、提訴が可能になってから6カ月以内は制限されるとした。 

 

 原告の場合、提訴に必要な不妊手術の記録が残されておらず、病院で診察を受けて診断書を手に入れたのは2019年8月だった。その4カ月後の12月に提訴していることから、賠償請求権は消滅していないと結論付けた。 

 

 1審・大阪地裁判決(22年9月)は除斥期間について高裁と同様の枠組みを示しつつ、同種訴訟が全国で初めて仙台地裁に起こされた18年1月から提訴が可能だったとし、原告の請求を棄却していた。 

 

 妻は判決後の記者会見で、手話通訳を介して「今まで苦しい闘いをしてきたが、霧が晴れたようでとても喜んでいる。国には謝罪してほしい」と話した。こども家庭庁は「現時点でコメントは差し控える」とした。【鈴木拓也】 

 

 

 
 

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