( 133203 )  2024/01/27 23:43:36  
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「家族葬だから費用を抑えられる」と思ったら…(イメージ) 

 

 故人と縁のある人に広く声をかけて、最後のお別れを──そんな葬儀の常識はコロナ禍を経て、大きく塗り替えられた。ごく近しい人だけに出席者が限られる「家族葬」が当たり前になり、「コロナ後」となってもそれが定着したままであるために、様々な問題が噴出しているという。 

 

【表】家族葬で注意すべきトラブル例 

 

 実際、国民生活センターでは、葬儀をめぐるトラブルの相談が増えており、2020年度は686件だった相談件数が、2022年度には951件にのぼった。寄せられる相談は「葬儀費用」に関する問題が多い。規模の小さい葬儀なのに、想像以上に費用がかかってしまったという話が目立つ。 

 

 家族葬のトラブルが増えているのはなぜか。その注意点を解説する。 

 

 費用に関しては、一般葬と家族葬では「香典の有無」という違いがあることも大きい。大阪・天王寺にある銀龍山泰聖寺の純空壮宏住職が語る。 

 

「家族葬でもオプションが積み重なると一般葬と同程度の100万円超の費用になるケースが珍しくありません。一般葬なら、かかった費用の半分程度は集まった香典で賄えますが、参列者からの香典がない家族葬だと、すべてが施主の負担になるので一般葬より持ち出しが大きくなります」 

 

 東京・板橋にある「たかほう葬祭」の浜島貴一社長によれば、「とくに費用を膨らませるオプションは会葬者への料理」だという。 

 

「地域によって多少相場は異なりますが、家族葬一式のセットに火葬料金が加わるだけなら50万円程度で済むのが、20~30人ほどの会葬者がお食事をされるとすぐに100万円近くになるでしょう。亡くなってから慌てて葬儀社を探してプランを決めると、葬儀社側に勧められるままとなりがちなので注意が必要です」 

 

 70~80代の親が亡くなった際、相場などを全く知らない40~50代の子世代が少人数の家族葬を取り仕切ろうとして失敗することも多いという。前出・純空住職が言う。 

 

「家族葬が広まったことで、“呼ばれない親族”が増えたわけですが、本来はそうした人たちのなかに“葬儀を何度も経験して手順や相場を知っている人”がいたわけです。うちの檀家さんでも、お父様が亡くなって長男が施主という時に、叔父さんが葬儀社と交渉したり、私にお布施の額を聞いてきたりされるケースではスムーズに進んでいる印象があります。そうした親戚がいなくて、施主が自分の家の宗派すら知らないまま進めるケースが最近は目立つが、相手が悪徳葬儀社だとやりたい放題になります」 

 

 国民生活センターに寄せられた相談例では、70代女性が業者に押し切られて大きな斎場を使うことになった結果、参列者が少なくて寂しい葬儀になったうえに150万円を請求されて支払いに窮したというケースも。現場の実態を前出・純空住職はこう証言する。 

 

「読経のために式場に行くと、広い会場にポツンと祭壇があることや、寂しさを紛らわすために大きな祭壇にしたり供花をたくさん並べているケースが目立ちます。最初は意図的に殺風景なレイアウトにして、祭壇や供花のグレードアップの提案をする葬儀社もあるというから要注意です」 

 

※週刊ポスト2024年2月2日号 

 

 

 
 

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