( 133328 ) 2024/01/28 13:57:07 0 00 ユニクロ、SHEINのバッグを持つ角谷暁子キャスター
ユニクロの半月型のショルダーバッグをめぐり、ユニクロは16日、中国発のアパレル大手「SHEIN」が模倣品を販売したとして、販売の停止などを求め提訴したと発表しました。ユニクロが提訴に踏み込むのは国内では初めてです。なぜ今、提訴なのか。そして裁判の行方はどうなるのか、追跡取材しました。
ユニクロが2020年に発売した「ラウンドミニショルダーバッグ」。半月型が特徴で、値段は1500円。使い勝手の良さなどから日本だけでなく世界でも異例のヒットとなり、ユニクロの業績を押し上げました。このショルダーバッグをめぐって、16日、ユニクロが中国発のアパレル大手SHEINを訴えたと発表したのです。
2012年に創業したSHEIN。ネット販売専門で服やバッグを数百円など極めて安い価格で販売しています。今年中にもアメリカで上場するとみられ、企業価値は最大でユニクロの時価総額に匹敵する13兆円程度になる可能性もあります。
ユニクロはテレビ東京の取材に対し「SHEINによる模倣商品の販売行為等が当社の販売に与えている悪影響は非常に深刻であり、一刻も早く停止させる必要性が高いと判断した」とコメントしています。
実際どれくらい似ているのでしょうか。実際にSHEINで注文をして比べました。
「注文画面を見ると確かに見た目は似ています。SHEINのショルダーバックの価格は382円。ユニクロのものと比べると4分の1ほどです。届いたSHEINのバッグをユニクロのものと比べると、確かによく似ています。」(角谷キャスター)
素人目にはよく似ているように見える2つのバッグ。カバンなどのデザインから販売までを手がける「新進工房」で、プロの目により2つのバッグの違いを見てもらいました。
どちらのバッグにも「はみ出し」が入っている
「まず形がほぼ同じ。この『はみ出し』という作り方だが、これは別にあってもなくてもどっちでも大丈夫だが、ユニクロの方にも入っていて、SHEINの方も入れられている」
ショルダーベルトのつけ方も似ている
「ショルダーベルトのつけ方にもいろんな方法があるが、ここから1本出ていて、角カンというが、ここを通しているつくりとか、職人から見てもユニクロを見て作っているという印象を受ける」(どちらも「仙入」の仙入雅之取締役)
プロの目から見ても似ているという判断でした。
さらに別のSHEINのバッグでは「このユニクロのポケットも作りが全く一緒。ポケット1個に対してステッチがあって、2つスペースがある。(SHEINも)同じくポケットに対してステッチが入って、2つスペースがある。全く同じ作りになっている」(仙入取締役)
中の作りもほぼ同じ。ここで職人が感じたのは、ユニクロのバッグをもとに型紙を作ったのではないかという疑問です。
型紙とはバッグなどを作る際の設計図のようなもの。新しい商品を作る際は10回ほど作り直す必要があるという重要なものです。
パーツごとに分解するとカーブの形がほぼ同じ
確認するためにパーツごとに分解してみると「バッグの状態よりもどれだけ一緒なのかわかりやすい。見てもらったらわかると思うが、カーブの形がほぼ同じ。バッグでここまで同じなのはなかなかない。ユニクロのバッグを購入して解体して、その形をとって、型紙に落として作っている可能性もあると思うほど酷似している」(仙入雅之取締役)。
気になる裁判の争点は?
ただ、ファッション業界ではトレンドとなったデザインを他社も追うことはよくあることにも思えます。
街の人にSHEINのイメージを聞くと「安い」「他の店の商品とちょっと似ている時がある」「安くてトレンドなものという感じ。(他社と似たデザインも)海外サイトならよくあることなのかな」と返ってきました。
裁判の行方はどうなるのでしょうか。元ファッション雑誌の編集者で、知的財産を巡る裁判に詳しい「三村小松法律事務所」の海老澤美幸弁護士によれば「ユニクロのバッグがどれだけ有名か、ユニクロの商品として認識されているか。もう一つがこの形がありふれているか。市場に似た商品がたくさんあるか、というのも一つのポイント」といいます。
ただユニクロが勝訴することは、容易ではないといいます。
「ただ非常にシンプルなデザインなので、似たバッグがたくさんあることをSHEIN側が主張して、証拠も出すことができれば、ありふれたデザインと判断される可能性もないわけではない」(海老澤弁護士)
それでもこうした訴えを起こすことには意義があるといいます。
「特にSHEINがいろいろ模倣の事例があって、様々なブランドが泣き寝入りしている事情がある中で、企業が立ち向かって戦う姿勢を見せるのは業界にとっても大きな意味がある」(海老澤弁護士)
テレビ東京の取材に対しSHEINは25日「SHEINは他社の知的財産権を尊重し、全ての申し立てを真摯に受け止める。現在この件について調査中」とコメントしました。
SHEINはアメリカでもラルフローレンやオークリー、クロムハーツなどから同様の訴えを起こされていて、裁判が続いています。デザインだけではなくて、ロゴマークを模倣されたと訴えるケースもあるということです。
※ワールドビジネスサテライト
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