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日経平均株価が高値を更新し、史上最高値に到達する可能性もある中、日銀のETF保有額が推定67.6兆円に上り、含み益は30.4兆円にもなっている。

しかし、日銀はこれまで一度もETFを売却したことがなく、現在の株高に乗じて利益確定売りを行っていない。

しかし、日銀は21年に政策変更し、ETF購入を大幅に縮小するなど、改革を進めており、また、過去に引き取った株式を市場で売却している。

これによって、市場をゆがめてきた日銀が健全化に向かっており、将来の株価下落時にも下支えできる余力を残していることが期待されている。

(要約)

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連日バブル後の高値を更新(C)日刊ゲンダイ 

 

【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#118 

 

 今年に入って一気に上昇した株価。日経平均は連日バブル後の高値を更新し、史上最高値3万8915円も視野に入りはじめているが、この株高で一番ウハウハなのはだれか? そう、日銀である。 

 

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 2010年から、日銀は事実上の「株式」である上場投資信託(ETF)を買い続け、株価を下支えしてきた。「市場をゆがめている」「官製相場に持続性はない」と批判されもしたが、積もり積もった日銀保有のETFの直近の時価は、現在の株高により、推定67.6兆円(東証の時価総額の7%強!)、含み益は30.4兆円にものぼるのだ。 

 

 となると、日銀はこの株高に乗じてこっそり利益確定売りをしているのかと勘ぐりたくなるが、それはない。株価下落を誘発しかねないなどの理由で、これまで日銀は、購入したETFを一度として売却したことがないのだ。 

 

 つまり日銀は買い込み、ため込む一方。さすがにそれはイビツで異常なので、日銀は少しずつ修正を行ってきた。黒田総裁時代の2017~20年に、異次元金融緩和策(アベノミクス)として年間4兆~7兆円もETF購入に充てていたが、21年春に政策変更し、「ETF購入は大幅な株安局面に限定」として購入を大幅に縮小。21年は8734億円、22年には6309億円となり、23年には2103億円にとどまった。 

 

 その一方で日銀は、かつて地銀など金融機関から引き取った株式を少しずつ市場で売却している。総額3兆円を16年から10年計画で進めている。そのため、昨年はETF購入額よりも株式売却額の方が大きかったことから、日銀が初めて「株の売り方に転じた?」などとニュースになったものだ。 

 

 こうした日銀の“転換”をどう見たらいいのか? 少なくとも株価下支えで市場をゆがめてきた日銀が「健全化」に向かっているといっていいだろう。それに、今回の株高に日銀のETF購入が寄与していないことは悪い話ではない。いざ株価下落が始まった際には日銀が下支えできる余力を残しているからだ。市場や投資家にとっては心強いことだと考えていいだろう。 (丸) 

 

 

 
 

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