( 133492 ) 2024/01/29 00:44:51 0 00 約2年で4回の値上げをしたマクドナルド
日本マクドナルドは、1月24日より単品を中心とした一部メニューの店頭価格の価格改定を行った。対象となるのは全体の約3分の1の商品で、10円から30円の値上げ幅となる。今回値上げされた代表的な商品は以下の通りだ。
【表】1月24日から値上げされたメニューの一覧(店頭価格&デリバリー価格)
【商品名:値上げ前価格→値上げ後価格】 てりやきマックバーガー:370円→400円 フィレオフィッシュ:370円→400円 ダブルチーズバーガー:400円→430円 ビッグマック:450円→480円 炙り醤油風 ダブル肉厚ビーフ:550円→580円 チキンマックナゲット5ピース:240円→260円 炭酸ドリンクLサイズ:270円→290円
一部を除く「バリューセット」、「ハッピーセット」、「ひるまック」などのセットメニューは据え置きとなる。
また、「チキンクリスプ」(180円)は、価格据え置きで「マックチキン」としてリニューアル。500円台の「マックチキン」、「スパチキ(スパイシーマックチキン)」、「チキチー(マックチキンチーズ)」、「エグチ(エッグチーズバーガー)」のバリューセットは、「ちょいマック」という新名称で提供される。
マクドナルドでは、2022年に2回、2023年に1回の値上げを行い、2023年7月には一部の都心部の店舗における都市型価格の見直しを実施。今回の値上げにより、約2年で実質的に5度にわたって値上げしていることになる。
例えばこの約2年での価格の変化は、『てりやきマックバーガー』で60円の値上げ、『ビッグマック』では90円の値上げ。かつては“安いハンバーガーチェーン”というイメージが強かったマクドナルドだが、その印象も変化を余儀なくされそう。SNSでは、〈手軽が手軽に食べれなくなる悲しみ〉〈高級品の域になってきたなあ〉など、ショックを受ける声も少なくない。
外食産業に詳しいライターの小浦大生氏はこう話す。
「原材料費などのコスト高騰を考えると、値上げは仕方ない部分があると思います。これまでの価格設定が低く抑えられていた分、値上げする余地が大きいからこそ、数度にわたって値上げしているという事情もありそうです。
ただ、多くのバリューセットの価格が据え置きであること、これまでバリューセットのメニューに組み込まれていなかった『チキンクリスプ』を『マックチキン』にリニューアルしたうえで、『ちょいマック』としてセットメニューに加えたことの2点については消費者としても“助かった”と言えるでしょう。
特に『マックチキン』のセットメニューの価格は500円。ワンコインでセットメニューが食べられるのは、まだまだリーズナブルだと思います」
マクドナルドが値上げしようとも、ファンは根強い。都内に住む広告代理店勤務のAさん(40代女性)は「変わらずマクドナルドを利用すると思います」と話す。
「家の近くには、マクドナルド、モスバーガー、ケンタッキー・フライド・チキン、フレッシュネスバーガーなどのファストフードチェーンが揃っていますが、とにかく注文してから提供されるまでの時間が早いのがマック。デリバリーでもマックが早く届く傾向にある気がします。値上がりは残念ですが、別のファストフードチェーンに乗り換えようとは思いませんね」
神奈川県在住の飲食店勤務のBさん(20代男性)は、妻と幼い子供と3人暮らし。親がマクドナルドのファンだと話す。
「近所に住む両親のところへ子供と一緒によく遊びに行くんですが、50代の父親がマクドナルド好きなので、店舗に寄って昼食を買って行くことが多いです。父曰く『子供の頃からマックが大好きで、何ものにも代えがたい』とのことだそうです。
現在3歳の息子もマックの“ハッピーセット”が大好き。毎回いろいろな“おまけ”がついたセットがあるというのも、マックならではの魅力だと思います」
マクドナルドは「ハンバーガーチェーンのなかでも“別物”」と話すのは、東京都在住の自営業のCさん(30代男性)だ。
「もはやハンバーガーも、ポテトも、ナゲットも、マックでしか食べられないものという感覚が強いですね。ずっと変わらない味で、安心感もある。他のチェーン店のハンバーガーを食べる時もマックが基準になっていて、“これならマック2個食べられた”とか、“美味しいけどなんだかんだマックが手頃”という感じになる。
他のハンバーガーチェーンとは、完全に別腹なので、多少値上げしても、定期的にマックには通い続けると思います」
メニューの安定感が愛されていると同時に、季節限定メニューも豊富なのがマクドナルドだ。前出のAさんはこう話す。
「冬の定番“グラコロ”をはじめ、マックの季節限定メニューは絶対食べますね。もちろんなかには狙いすぎたようなものありますが、基本的にはみんなおいしい。そういった季節限定メニューも含め、マックは『これを食べて失敗した』とか『お金を損してしまった』となることがほとんどない」(Aさん)
味の安定感、利便性、そして独自性などが、マクドナルドが支持を集めている要因と言えそう。前出の小浦氏はこう話す。
「店舗数が多いうえ、いつでもどこでも同じクオリティの商品が提供されるというのは、大きなメリットです。そのうえクーポンなども多く配布していて、お得に利用することもできる。多くの日本人にとって身近であるからこそマクドナルドがファストフードの象徴で、日常に入り込んでいる消費者も多いはずです。
とはいえ、SNSには値上げしたマクドナルドの商品とモスバーガーやバーガーキングの商品との価格を比較し、『モスのほうがお得』『バーガーキングのほうがお得』とする声も多く、“安さ”というメリットが目減りしつつあるのも事実です。
今回の値上げが決定的な打撃を加えるとは思いませんが、度重なる値上げに落胆する利用者は少なくない。今後、マクドナルド愛好家がどう判断するのかは、気になるところです」
ハンバーガーチェーンの最大手として君臨するマクドナルド。相次いで行われる値上げが、ファンの消費行動にどう影響していくのかにも注目したい。(了)
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