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 1月29日、トヨタ自動車は、豊田自動織機に委託した自動車用ディーゼルエンジン3機種の出力試験で違反行為が確認されたエンジンを搭載した車両の出荷をいったん停止すると発表した。写真はトヨタのロゴ。2017年3月、タイのバンコクで撮影(2024年 ロイター/Athit Perawongmetha) 

 

Maki Shiraki 

 

[東京 29日 ロイター] - トヨタ自動車の佐藤恒治社長は29日、豊田自動織機の認証不正を陳謝した上で、グループ企業で問題が相次いでいることについて、「一回立ち止まって、しっかり反省をして、問題に向き合って、あらためて前を向くことがトヨタグループとしてやっていかなければならないことだ」と語った。 

 

佐藤社長は記者団に対し、ダイハツ工業、日野自動車などグループで不正が続く背景について、開発と認証を手掛ける部署が同一で、互いにチェックし合わないことなどがあると説明。「根っこに共通する問題は、認証制度に対する理解と尊重、あるいは順守するという意識面。個別の案件によらず、全体を見て取り組んでいく必要がある」と述べた。 

 

「組織上の課題に手を打てていなかった。技術の高度化が非常に速く進む中、業務負荷が高まる中、足元でしっかりと正しいチェックをしていく大切さのバランスを崩していた」と語った。 

 

<意思疎通に問題とトヨタ社長> 

 

豊田織機に開発を委託していた自動車用ディーゼルエンジン3機種の出力試験で違反行為があったため、トヨタはこのエンジンを搭載した車両の出荷をいったん停止することを決めた。対象は「ランドクルーザー300」や「ハイラックス」など10車種で、うち日本では6車種。 

 

国内は29日夕方以降のシフトから2月1日までの出荷停止を決め、2日以降は1日午後に判断する。4工場6ラインが影響を受ける。海外は30日から出荷を順次停止する。佐藤社長によると、影響台数は月で換算すると世界で計3万6000台、国内で7000台。 

 

豊田織機は、エンジンの出力試験時、量産用とは異なるソフトを使ったECU(電子制御ユニット)を使ってエンジンの出力性能を測定し、測定数値が安定するようにばらつきを抑えて報告していた。同社は「試験の際、燃料噴射量を調整し、出力・トルクカーブについて見栄えの良いデータ」にしていたという。 

 

トヨタは、該当するエンジンと車両の量産品をあらためて検証し、エンジン出力基準を満たしていることは確認済みで、直ちに車両の使用を停止する必要はないとしている。 

 

トヨタは豊田織機にディーゼルエンジン事業の移管を進めてきた。佐藤社長は、技術を移転する中で両社の意思疎通が不足していたとの認識を示した。その上で、「両社でもう少し踏み込んで実際の業務の中でやり取りをするようなコミュニケ―ションの取り方をしていこうと(豊田織機の)伊藤(浩一)社長とも話をしている」と述べた。 

 

<国交省が立ち入り検査へ> 

 

同日会見した豊田織機の伊藤社長は、顧客、販売店、仕入先、監督官庁など関係者に「多大な迷惑をおかけした」と謝罪。「極めて重大に受け止め、深く反省している」と述べた。不正の原因として「トヨタとのコミュニケーション不足」を指摘。法令順守意識の欠如と開発生産を進めるために必要な「組織・体制が不十分だった」と説明した。 

 

豊田織機は同日、フォークリフト用エンジンの認証試験を巡る特別調査委員会の調査で、フォークリフト用エンジンでの不正が拡大したことや、新たにトヨタ向けの自動車エンジンでも不正行為が確認されたことを公表した。 

 

国土交通省は30日午前9時から豊田織機の碧南工場(愛知県碧南市)に立ち入り検査する。 

 

 

 
 

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