( 134334 ) 2024/01/31 13:14:02 2 00 「セクシー田中さん」悲しい出来事の裏にある現実 ドラマ関係者のバッシング加熱に感じること東洋経済オンライン 1/30(火) 23:17 配信 https://news.yahoo.co.jp/articles/7c11f0d540306352f14785de85c49ceb5826fbba |
( 134337 ) 2024/01/31 13:14:02 0 00 (画像:ドラマ「セクシー田中さん」公式サイトより)
悲しい知らせに、多くの人々が心を痛めたのではないでしょうか。1月29日夕方、「セクシー田中さん」「砂時計」「Piece」「Bread & Butter」などで知られる漫画家・芦原妃名子さんが栃木県内で亡くなったことが報じられました。
【画像】日本テレビが公式サイト上に掲載したコメント
26日に芦原さんがブログやXに昨秋放送のドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ)で、ラスト2話の脚本を担当することになった経緯を公表してからわずか3日。そこでは、時系列に沿ったやり取り、当初の条件、加筆修正の労力、戸惑いや無念などがつづられていました。
しかし、それを見たネット上の人々は、同作の脚本家が昨年末、自身のインスタグラムに、「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望があり、過去に経験したことのない事態で困惑しましたが、残念ながら急きょ協力という形で携わることとなりました」などとコメントしていたことに注目。芦原さんが要望して書いたのではなく、労力や無念があったことを知った人々が、「許さない」「名前を覚えたからな」などと脚本家を責めるような声を上げていきました。
■「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」
これを受けて芦原さんは28日に投稿を削除し、Xで「攻撃したかったわけじゃなくて。ごめんなさい」と謝罪。真意が伝わらなかったうえに、自分の発言が人を攻撃するにきっかけになってしまったことへの心痛は、私たちの想像を超えるものがあったのかもしれません。
今回の件は26日から現在までさまざまな記事で報じられていますが、実写化やドラマ制作の本質を掘り下げたものはほとんどなく、だからこそ個人への攻撃につながっているような感があります。もちろん芦原さんが亡くなったことと一連の件に直接関係があったとは断言できないのですが、タイミング的にまったくの無関係とも言えないと感じられるのも事実。ここでは漫画や小説をドラマ化する際、関係者の間などで問題になりやすいところなどを挙げつつ、考えられる対策などを探っていきます。
ドラマ制作の本質を掘り下げる前に書いておきたいのは、「脚本家、テレビ局のプロデューサー、出版社の担当編集などへの個人批判は絶対にやめてほしい」ということ。今回の件は決して「脚本家VS原作者」ではないし、「プロデューサーや担当編集が悪い」といった個人の問題ではありません。
ドラマ「セクシー田中さん」の制作には、放送局の日本テレビと漫画発行元の小学館が関わっていて、両社ではたくさんの人々が制作に携わっています。たとえばプロデューサー、脚本家、演出家、あるいは、出版社の担当編集、営業担当など、関係者は実に多岐に渡ります。
今回の件は誰かを責めるのではなく、組織、仕組み、ガバナンスの問題としてとらえ、改善につなげていきたいところ。これはエンタメに限った話ではなく、あらゆる業界のビジネスパーソンがミスをしてしまったとき、個人の問題とせず、組織として改善に努めていくことと似ています。
ドラマ制作の現場に話を戻すと、それぞれの企画は主にプロデューサーか編成担当が立てるところからスタート。大御所を中心に脚本家発信で動きはじめるものもありますが、それでも最終的な決定権はプロデューサーや編成担当、局の上層部にあり、視聴率や配信再生数の獲得、スポンサー配慮などの観点を踏まえつつ進めていきます。
では、もし原作の改編に問題があった場合、誰の何が原因なのか。
主な当事者は、原作者と担当編集者、プロデューサーと脚本家、演出家の5者。今回、改編の問題があったのは、「プロデューサー、脚本家、演出家、担当編集の4者が原作者の意向をくみ取り、ドラマとしてまとめることができなかった」ということでしょう。ネットで書かれているような「脚本家が単独で改編を繰り返して原作を壊した」ということは考えづらいのです。
■ドラマ制作と出版社の事情と本音
改編で問題が発生したときは、時間をかけてコミュニケーションを繰り返す。あるいは、原作者をフォローし、意向を汲める人材を新たに投入する。つまり、問題解決に向けて、時間や回数、人員やスキル面での対策が求められます。
しかし、ドラマ制作はキャストやスタッフなど漫画や小説以上に多くの人々が関わり、ロケ地や美術などの手配もあって、スケジュール面での難しさとつねに戦っているようなところがあるもの。そのため、「原作者や担当編集サイドと十分なコミュニケーションが取れていないまま、『これでお願いします』と理解を求める」ようなケースも散見されます。
また、視聴率や配信再生数の獲得やスポンサー配慮などの理由から、「このような脚色で進めさせて」「これくらい変えてもいいのですよね」などと原作者に甘えるような形になってしまうというケースも見られます。
ただ、原作者の窓口になる担当編集者も同様に、「これくらいの脚色ならいいのでは」と自己判断したり、勧めたりするケースも少なくありません。出版社もビジネスである以上、ドラマ化で売り上げを増やすことが重要であり、「100%原作者に寄り添う形になれるか」と言えばそうとは限らず、「放送されることを優先する」ところもあるものです。
今回の真相は、ドラマ「セクシー田中さん」に関わった人しかわかりません。しかし、芦原さんがブログにつづっていた「当初から条件を提示していたにもかかわらず、許容範囲を超える改編が続き、自ら加筆修正を繰り返したこと」「連載中の作品で、まだ漫画の結末も決めていなかったこと」「芦原さんと脚本家は一度も会っていないこと」などの言葉を踏まえると、彼女を取り巻く人々の尊重や配慮の不足、誤解や誤算があった様子がうかがえます。
それを象徴していたのが、今作の脚本家が年末に発信した「最後は脚本も書きたいという原作者たっての要望」というコメント。本当にそう聞いたのか、それとも、うまく伝わらずに誤解を招いたのかはわかりませんが、これがきっかけで芦原さんが釈明の投稿をし、それが“原作の改編に対する是非”などの大きな問題に発展してしまいました。
どんな理由や意図があったにしても、悪意はなかったとしても、わずかな言葉のチョイスが取り返しのつかない事態につながりかねない怖さを感じさせられます。
■絵や文字と映像では伝わり方が違う
ここで漫画や小説の実写ドラマ化そのものについてふれておきましょう。
ドラマに限らず漫画や小説を実写化する際、原作をそのままコピーするようになぞることは基本的にほぼありません。「そのまま実写化しても見づらい、感情などが伝わりづらい」「より物語や登場人物の魅力が伝わるようにしたい」「1話45分程度にまとめなければいけない」などの理由から脚色するのは当然とみなされているからです。
そもそも「“絵”や“文字”と“映像”では見る人への伝わり方がまったく違うため、そのままコピーするだけでは、むしろ原作の魅力が伝わらない」というのが共通認識。また、「すでにネタバレしている物語のため、実写化でより見ごたえを出さなければいけない」などの意識もあり、「原作の脚色こそ脚本家の実力が表れる」とみなすプロデューサーもいます。
ただ、原作者の要望に応えるのはもちろん、ファンが支持しているポイントも含め、プロデューサーと脚本家が「ここだけは変えてはいけないポイント」「絶対に入れなければいけないシーン」などの判断を間違えると批判は避けられません。
その点、業界で「脚本家の中で最も脚色がうまい」と言われる森下佳子さんは、昨年よしながふみさんの漫画を実写化したドラマ「大奥」(NHK総合)で、原作の魅力を広げ、俳優の熱演を引き出す脚本を作ったと称賛を受けました。
森下さんはそのほかでも、「世界の中心で、愛をさけぶ」「白夜行」「JIN-仁-」「とんび」「天皇の料理番」「義母と娘のブルース」(すべてTBS)などを手がけ、まさにハズレなしの名人。しかし、これらの名作は森下さんだけの力というより、石丸彰彦プロデューサーらの力も含めた脚色であり、やはり組織として機能することが重要なのです。
今回の騒動ではネット上に「ドラマのスタッフはいまだに『漫画をドラマにしてやる』という上から目線」「原作者やファンを見下している」などの声も少なくありません。まだ一部でそういう人がいるかもしれませんが、私が知る限り最近はそんなプロデューサーに会ったことがなく、むしろ良くも悪くも腰の低さを感じさせられる機会のほうが多いものです。
しかし、それでも前述したように、「スケジュールや忙しさを理由に原作者や脚本家への尊重や配慮の不足があるのでは?」と感じることがあるのも事実。原作者や脚本家はもちろん、ファンや「一度も見たことがない人」ですらSNSで疑問や批判の声を上げる時代だけに、以前よりもトラブルが起きやすく、もうワンランク上の尊重や配慮が求められているのではないでしょうか。
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( 134336 ) 2024/01/31 13:14:02 0 00 ・脚本家の投稿が事態の発端だとの意見や、SNSの影響力と危険性について言及する声が多く見られます。
また、プロデューサーや小学館の役割や判断の問題、SNSの使い方や信頼性の見直し、現場でのコミュニケーションや契約の重要性など、複数の視点から様々な要因が問題に影響している可能性が指摘されています。 |
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