( 134406 )  2024/01/31 14:38:00  
00

昨30日、緊急会見をしたトヨタ自動車の豊田章男会長だが…(C)共同通信社 

 

「販売してはいけない商品をお客さまに届けるという絶対にしてはいけないことをしてしまった」──。トヨタ自動車の豊田章男会長は30日、名古屋市内で緊急会見。トヨタグループ各社で相次ぐ不正問題について陳謝した。 

 

ダイハツ不祥事で日本バドミントン界は大打撃! 一大スポンサー消滅危機に協会の反応は? 

 

 グループ内はさながら不正のオンパレード状態だ。トヨタの「源流」である豊田自動織機が29日、フォークリフトや建設機械用のエンジンに続き、新たに自動車用エンジンでも不正が確認されたと発表。昨年暮れには子会社のダイハツ工業に生産終了モデルを含め、64車種174件という大規模な不正が発覚したばかり。子会社では2022年3月にも日野自動車でエンジン認証試験の不正が発覚している。 

 

 会見で章男会長は「私自身が責任者としてグループの変革をリードする」と強調した一方、09~10年にアメリカで起こった大規模リコール問題を引き合いに、こう訴えた。 

 

「グループの中で一番最初に信頼を失ったのはトヨタ自動車であるので、相談相手としては、頼りになる存在になるのでは」 

 

 何ともノーテンキな発言である。相次ぐ不正の要因として、「現場が上にモノを言えない空気が広がっていた」と指摘される中、自虐ネタだとしても笑えない。 

 

巨大グループ傘下のもと、現場の声は届くのか…(豊田自動織機碧南工場に国交省の立ち入り検査が入った=同30日)/(C)共同通信社 

 

「巨大グループを率いる立場として、トヨタの“ダイハツ部門”や“日野部門”などで生じた不正と考えるべきなのに、まるで他人事のような言い草は問題です。くしくも、トヨタはきのう、グループ全体の販売台数が4年連続で世界1位になったと発表。『世界一』を目指すあまり、現場は相当なプレッシャーを強いられている。ムリな開発日程やリソース不足は、その象徴でしょう」(経済ジャーナリスト・井上学氏) 

 

 不正の背景に章男会長の責任を挙げる声もあるという。 

 

「章男氏の社長時代の役員人事は“粛清”と言われていたほど。周りには恐怖政治に映ります。上級・中級の管理職はヘマをしでかせば左遷の憂き目に遭う。開発のプレッシャーを抱えながら現場に無理を強いて、現場から問題が上がってきたとしても、章男氏の耳に余計なことは入れたがらない。現場は管理職に相談しても相手にされず、やがて何も言えなくなる。そんな悪循環が不正を生んだ根底にあるのでしょう」(井上学氏) 

 

 トヨタお得意の「カイゼン」はどこへやら。汚名を返上できるのか。 

 

 

 
 

IMAGE