( 134600 )  2024/01/31 23:56:59  
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大黒ふ頭に整然と並ぶ大量の自動車=横浜市鶴見区で2023年12月26日、本社ヘリから三浦研吾撮影 

 

 日本自動車工業会が31日に発表した2023年の自動車輸出台数は前年比16%増の442万2682台だった。中国の23年の輸出台数は58%増の491万台で過去最高を更新しており、年間の輸出台数で中国が日本を抜いて初の世界首位になった。 

 

【写真まとめ】日本を抜いた中国で生産されるEV 

 

 日本が首位から転落するのは、ドイツに抜かれた16年以来7年ぶり。世界で普及が進む電気自動車(EV)で中国メーカーの勢いが増す一方、日本勢は出遅れており、今後の挽回は容易ではなさそうだ。 

 

 日本の23年の自動車輸出は2年ぶりに増加したが、新型コロナウイルス禍前の19年の481万8132台には届かなかった。北米や欧州向けはそれぞれ前年比20~40%増えたが、EV普及が進む中国向けが苦戦したことが響いた。対アジアは同4%減った。 

 

 日本の自動車輸出は、戦後の日本メーカーの急成長とともに増加し、1980年代には600万台を超えた。ただ、米国などで貿易摩擦が問題化し、円高進行が加わると、各社は海外での現地生産を強化。輸出台数はここ10年は300万~400万台で推移しており、今後の大幅増は見込みにくい。 

 

 日本メーカーが苦戦するEVが、今後世界でさらに普及すれば、輸出の減少傾向が定着しかねない。少子高齢化や若者の自動車離れで日本国内の市場が頭打ちとなる中、輸出減は国内の生産体制の縮小に直結する。部品メーカーなどを含めた雇用に大きな打撃を与える懸念がある。 

 

 一方、中国の輸出台数は20年まで年数十万~100万台程度で推移してきたが、国内でEVが急速に普及し、競争激化で値下がりが進んだのに伴い、輸出も21年以降は欧州向けなどで年100万台ペースで急伸している。また、ウクライナ侵攻に伴う制裁で日米欧メーカーの撤退が広がったロシア向けはガソリン車の輸出が急増。22年にドイツを抜いて世界2位になると、23年に首位の日本を一気に抜き去った。中国EVへの欧米の警戒感が強まる中、中国メーカーの海外生産も徐々に広がるが、輸出の勢いはしばらく続きそうだ。【加藤結花、北京・小倉祥徳】 

 

 

 
 

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