( 135643 ) 2024/02/03 23:31:36 0 00 AdobeStock
バブル経済崩壊後の最高値を付けた日経平均株価、史上最高値を更新したS&P500…。日米ともに好調さが目立つが、元証券会社本部長で米国IT企業の代表を務める億トレーダーのABC Trader氏は、「日本株は春までは強い。しかし米国株は危険な状態にある」と話す。みんかぶプレミアム特集「見えた!日経平均4万円時代」第3回は、日米の市場の見方と、2024年に期待できる日本株について、ABC Trader氏にうかがった。
日本経済は本当に強いですね。私は米国IT企業の代表を務めている関係で、年始から2週間ほどアメリカに出張していましたが、アメリカでも日本の強さが話題になっていました。ニュースでも、「日経平均株価の史上最高値が見えてきた」「日本はデフレを脱却しつつある」などと報じられていました。
世界の株式市場を見渡しても、いまここまで強いのは日本とアメリカくらい。日本の市場には外国人投資家の占める割合が多いですが、とくにいまは日本に投資しないとパフォーマンスが悪化してしまうような状況です。そのため、外国からもどんどん資金が入ってきているのです。
いまの日本株はすごくいいです。「弱点がないことが弱点」と言っていいくらいだと思いますね。この大きな要因としては、「東京証券取引所(東証)のPBR(株価純資産倍率)1倍割れ改善」「円安」「新NISA」が挙げられます。
円安は企業業績を底上げします。年末には、円高を予想する為替のストラテジストも多かったところ、結局円安のまま。これはアメリカの長期金利は下がっているものの、日本の実質金利も下がっていますから、金利差が縮小しないためです。
そう考えると、株価が上がる理由はたくさんあっても、下がる要因が見当たりません。2023年は、事業法人は自社株買いを拡大して買い越し、外国人はバフェットの商社株買いもあり大幅に買い越しましたが、個人は売り越しています。それが今年は事業法人も自社株買いをさらに拡大させて買い越し、外国人も経営改革を評価して買い越し、新NISAが始まって個人も買い越しとなると、需給もいいしファンダメンタルズもいい。投資家として、強気でいてもいいと思います。
年明け以降、S&P500も史上最高値を更新しました。 S&P500は言わずと知れた、日本の個人投資家にも大人気の投資信託です。新NISAの影響で、より日本からの資金も流入しているでしょう。
ただ私としては、米国株はいま少し危険な状態にあるとみています。というのも、アメリカはいま、企業の利益が伸びていないんです。S&P500も、よくみればEPS(1株当たり純利益)は下がっている。NASDAQも、業績の上昇以上に株価が上がってしまっています。
なぜこれほど株価が上がっているかというと、市場が“バラ色のシナリオ”を想定しているから。要は実体ではなく、期待だけで株価が上がっているのです。
バラ色のシナリオとは、「金利は下がっていく。一方で企業の業績は上がる。そして個人消費はそこまで減速しない」というソフトランディングのストーリーです。ですが、そううまくいくとは考えづらいのです。
当初市場では、「米連邦準備制度理事会(FRB)は6回の利下げに踏み切るのではないか」との見方が優勢でした。しかし、インフレも収まらず、どうやら6回はなさそうな状況です。4回の利下げすらないかもしれません。
もし期待通りのシナリオが実現しないのであれば、株価が下落していくことは想像に難くありません。
米国株が変調する際の先行指標として、二つの銘柄を挙げたいと思います。Metaとエヌビディアです。この二つの株価が下落してくれば、米国株全体が下落してくるサイン。私も注視しています。
ABCTrader
|
![]() |