( 135852 )  2024/02/04 15:34:21  
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差額500円の不正行為で懲戒免職に(写真はイメージ) 

 

【「表と裏」の法律知識】#220 

 

 兵庫県の市立中学校の校長が、コンビニのセルフ式コーヒー抽出機で、購入サイズよりも大きなサイズの量を注いで持ち帰る不正をしたとして、刑事事件は不起訴となったものの、懲戒免職処分となったとの報道がありました。 

 

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 僕もコンビニのコーヒーを買って事務所に行くのが日課なので、ある意味「やっちゃったかぁ」と思った事件でした。 

 

 コンビニによっては、コーヒーの量や種類だけでなく、カップのサイズまで自分で選択できる店舗もあります。それを見るたびに、押し間違う人が出るだろうなぁ、めちゃくちゃ性善説式だなぁ、サイズを間違った「ふり」をする人が多く出そうだなぁと感じていました。日本中で同種のトラブルが起きていそうですが、今回の校長は半年の間に7回のサイズ違いをやってしまっていたようなので、さすがに言い逃れできない状況だったのかなと思います。 

 

 確かに、初めからサイズ違いを注ぐつもりだったのであれば詐欺罪(10年以下の懲役)、レジで購入した後でサイズ違いを入れてやろうと思って注いだ場合は窃盗罪(10年以下の懲役、50万円以下の罰金)となりますし、もしサイズ違いを指摘されて店員に暴力を振るったら強盗罪(5~20年の懲役)とかなり重い罪になります。 

 

 昨年、コーヒーのサイズ違いを指摘されて車で逃げた犯人が、追いかけてきた店長にケガをさせたとして強盗殺人未遂になった事件も発生しました。 

 

 このような犯罪行為が許されない行為なのは明らかではありますが、その一方で、校長まで勤め上げた方が、差額約500円の不正行為で懲戒免職となり退職金ゼロになるのは、結果と処分のバランスが取れていないようにも思います。 

 

 この処分を争うかどうかは校長の判断ですが、もし納得がいかないのであれば、処分の不当性を争う余地もあります。 

 

(髙橋裕樹/弁護士) 

 

 

 
 

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