( 136743 )  2024/02/07 12:48:37  
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 性加害疑惑の報道により、1月8日に活動を休止したダウンタウンの松本人志には、応援姿勢のタレントたちがたくさんいるが、その裏では真逆、テレビ番組スタッフの間から、「仕事を放棄した無責任」を問う厳しい声も聞かれている。 

 

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 「大物の松本さんだから、みんな黙っていますけど、番組側から見たら違約金を払ってほしいぐらいの仕事放棄だと思うんですよ」 

 

 こう言ったのは、松本がレギュラー出演していた番組のディレクターのひとり。急な松本不在で番組構成の予定が大きく変わり、その対応に追われて「休止発表の後、家に帰れたのは6日後だった」という。 

 

 「これが病気や事故が理由なら、支えようとモチベーションも上がるんですよ。番組内でも松本さんを応援する話とかできますし。でも、私生活の女性スキャンダルで、自分から裁判をするって辞めている。それなら正直、もっと出てきて言うことあるんじゃないかと思います。視聴者に向けられなくても、仕事現場の人に一言あるべきでしょう。 

 

 いま事実無根だけど説明なし、という変な状況で、どこからどこまでが事実無根なのかも分からず、番組上では扱いが難しくて、何にも触れられなくなってしまっています。世間はいなくなった理由を知っているのに、番組では主役級の出演者が消えたことを、何も触れずにやっていくなんて無理があるんです。これがCM契約だったら違約金が発生する重大な事案でしょう。本当は番組側だって損害賠償したいぐらいの損害があると思うんです」 

 

 このディレクターによると、タレントが勝手に番組降板しても、その損害を弁済するような出演契約にはなっていないことが大半だという。 

 

 「でも、1時間で何百万円も払う高い報酬を出しているのは番組側じゃないですか。それなら相応の仕事の責任ってあると思います。本人の事情で降りるなら、そこを考えるべきでしょう。下請け制作会社所属の僕が、松本さんの穴埋めでたくさん残業しても、その賃金を払うのも制作会社。僕の上司も、なんで無駄な出費をこちらで負わなきゃいけないのかって言っていました」(同) 

 

 

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 松本は休業理由を、疑惑を報じた週刊文春側との裁判に注力するためと、所属事務所を通じて説明したが、「疑惑が潔白だというならば、裁判をしながらでも仕事ができたのでは」という見方をする弁護士もいた。 

 

 事実、吉本興業から発表された松本の意向でも、「裁判との同時並行ではこれまでのようにお笑いに全力を傾けることができなくなってしまうため」と、同時並行はできるが全力は出せない、という内容になっていた。 

 

 「名誉棄損の裁判をしながら仕事を続けていたタレントなんて、いくらでもいるのに…」とディレクター。 

 

 松本が出ていたレギュラー番組は7本。日本テレビ系が「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」と「ダウンタウンDX」、フジテレビ系が「人志松本の酒のツマミになる話」と「まつもtoなかい」、TBS系が「クレイジージャーニー」と「水曜日のダウンタウン」、テレビ朝日系が「探偵! ナイトスクープ」。大半は松本の名前かコンビ名の入った「冠番組」であり、ディレクターは「替えのきかない仕事だからこそ重大」と言う。 

 

 「テレビ側の人たちがまるで何も不満がないような感じになっていますけど、現場ではスタッフの不満がたくさん聞かれています。松本さんに思い入れのあるスタッフは何も言わないですが、多くはそういう思い入れはないので、いきなり仕事が大変になっただけ。番組が終わる不安だってあるんです。下請けとかフリーランスの人たちが多くて、番組がなくなると仕事がなくなる。いまは穴埋めで忙しいですけど、冠番組で主役不在だと、いつ番組終了するか分からないので」 

 

 同様に番組共演者も、松本不在の対応に追われる立場ではあるのだが、その不満はあまり聞かれない。 

 

 「共演者も自分の仕事場での損失があるので、そういう目線は見せてほしいというのが正直なところ」(同) 

 

 出演者の突然降板による損害については、ある放送作家に聞くと「映画や舞台なら損害賠償になる契約内容になっていることが多いけど、テレビは人気出演者に弱く、そんな条件を突き付けてまで仕事依頼しにくい空気がある」と言う。 

 

 「いま各局の社長までが気を遣ってモノを言っているのを見ても、それは分かるでしょう。自社の損害なのに、それを言わないんだから。この先も不安定が続くので現場は気の毒。いまは急な状況で、各番組もとりあえず春の改編は暫定的な方向でいく感じがほとんど。でも、秋の改編までは分からない。テレビはとにかく数字(視聴率)が大事だから、その影響が出てくると終わる話も出てくる。なにしろ松本さんのイメージが悪すぎて」 

 

 一方、テレビ業界は長く貢献してきた人を守る風潮もあり、「コンビでの番組は、たとえ数字が落ちるようなことがあっても、(相方の)浜田(雅功)さんの意向も汲んで続ける選択肢はある」という。 

 

 それでも、局の収益を生む番組スポンサー企業の判断は大きく、「スポンサーが難を示すようなことが生まれると現場の人間が何を言っても続けるのは難しくなる」と放送作家。 

 

 いずれにせよ、松本の活動休止による出演番組への損失はかなり大きく、現場の混乱は視聴者に見えないところで続いている。 

 

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 【つづきを読む】『松本人志の“文春砲”で考えるべきこと…アテンド経験のある女性が語る「違和感の正体」』 

 

片岡 亮(フリージャーナリスト) 

 

 

 
 

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