( 137503 )  2024/02/09 14:27:22  
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 日銀のマイナス金利解除が秒読みに入った。植田和男総裁は1月の会見で「(目標とする)基調的な物価上昇率2%に向け、確度は少しずつ高まっている」と強調。この発言を地ならしに、3月か4月の会合で17年ぶりの利上げに踏み切るとの観測が大勢だ。 

 

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 日銀内は「黒田東彦前総裁時代の10年にわたる異次元緩和の出口にようやく道筋が付く」と沸き立っている。金融政策の企画・立案を担う生え抜き、内田眞一副総裁の周辺からは「マイナス金利解除は通過点。その先の追加利上げも当然、念頭においている」と前のめりな発言も漏れる。 

 

 日銀が意識する当面の到達点は、福井俊彦総裁時代の'07年2月に実現した短期政策金利0.5%だ。4~5%台の欧米の中央銀行から見れば「雀の涙」のようなレベルだが、デフレが続いた日本では今世紀最高水準。日銀企画局幹部は「福井ラインを今年度内に達成したい」と力説する。 

 

 だが、そんな日銀の思いとは裏腹に、財務省内では「金融正常化路線はマイナス金利解除で打ち止めではないか。追加利上げは難しく、ゼロ金利を長く続けざるを得ないだろう」との冷ややかな見方が広がる。マイナス金利解除の先延ばしを続けた植田日銀は、すでに「機を逸した」(主計局幹部)と見ているのだ。 

 

 確かに、物価高を起点に商品・サービスへの価格転嫁が広がった昨秋は、「金利のある世界」への転換に向けた好機だった。にもかかわらず、自民党安倍派の抵抗に遠慮したのか、物価や景気の先行きに自信が持ちきれなかったのか、日銀はイールドカーブ・コントロールの再修正という中途半端な対応でお茶を濁した。 

 

 日銀有力OBは「'00年のゼロ金利解除での失敗が、植田総裁のトラウマなのかもしれない。当時、審議委員だった総裁は決定会合で反対票を投じたが、それから日銀はわずか数ヵ月で量的緩和の導入に追い込まれた。『敗戦』の記憶は今も鮮明なはずだ」と同情する。 

 

 だが、ときには「思い切って飛び降りる勇気も必要」(元財務次官)だ。手練れの財務官僚から見れば、学者出身の植田総裁にはその度胸がなかったように映るのである。 

 

 足元では日銀への逆風も吹き始めた。輸入インフレが収まりつつあることを背景に、消費者物価上昇率は日銀の目標の2%を早晩下回ると予想されている。米連邦準備理事会(FRB)が年央には利下げに転じると見られるのも厄介だ。急激な円高を招けば、日本企業の業績を悪化させる。 

 

 さらに、政治的なハードルも高まる。9月の自民党総裁選で再選を狙う岸田文雄首相は衆院解散・総選挙の機会を探っており、景気に悪影響を及ぼすと判断すればゼロ金利政策の長期化を求めてきかねない。植田日銀の先行きは険しそうだ。 

 

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週刊現代(講談社) 

 

 

 
 

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