( 137528 )  2024/02/09 14:47:00  
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厳しい職場をなくす働きがみられる昨今、容易に注意できない、指摘できないという恐れから「陰湿な職場」と化してしまう現象が起きているといいます(写真:天空のジュピター/PIXTA) 

 

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」 と心理学者のアドラーが考えたように、ほぼ全ての人が人間関係で悩んだ経験があるはず。 

「人から嫌われたくない」「飲み会のような場を避けたい」「面白いことを言わないといけない」。そんな悩みを一度でも感じたことのある方にオススメなのが「笑いの力」を利用すること。 

元お笑い芸人である中北朋宏氏は、芸人引退後に未経験でコンサル業界に転職し、「笑いの技術」を駆使して3年で売り上げナンバーワンに。 

 

【図解でわかる】「ゆるい職場」が「陰湿な職場」に変わる理由 

 

その後、起業して株式会社俺を設立。現在は芸人のセカンドキャリア・転職を支援する「芸人ネクスト」と、「お笑い」と「コミュニケーション」を掛け合わせた、心理的安全性や営業力を向上させる独自のノウハウ「コメディケーション」を260社、2万6000人以上に提供している。 

最新刊『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』では、中北氏のこれまでの経験から培った「笑いをビジネスに活かす技術」を網羅。 

 

以下では、その中北氏が「陰湿な職場」について解説します。 

 

■「ゆるい職場」から「危険な職場」へ 

 

 昨今、心理的安全性の重要性が叫ばれ、「厳しい職場」への撲滅運動が盛んに行われてきました。 

 

 それに伴い、上司からの「指摘」や「フィードバック」も「厳しい言葉」や「厳しい対応」と解釈されてしまい、撲滅されていきました。 

 

 少し前に私がご一緒しているお客様からお伺いした話が印象的でした。 

 

 部下が「注意するとすぐ不機嫌になる」「言いすぎると辞める」などの事象が起こり、リスクを回避するためにも上司が「腫れ物に触る」かのように部下に接していることが多くなってきているという話です。 

 

 このような事象から「厳しい職場」の特徴でもある指摘・フィードバックが減り、心理的安全性はあるがキャリアの安全性が保証されていない「ゆるい職場」へと変化を遂げているわけです。 

 

 結果的に「ゆるい職場」に変化を遂げたものの、若手はキャリアの安全性を感じることができず離職へとつながっていきます。 

 

 こうして、心理的安全性が確保されたのに、若手が抜け始めると、「やはり厳しい言葉も必要なのでは?」「やっぱり厳しく教育しなおそう」という機運が高まってしまいます。 

 

 

 結局、解決すべきだった「キャリアの安全性」という、問題は未解決のまま、せっかくあった「心理的安全性」も落ちてしまう、ということになるわけです。 

 

 心理的安全性も低く、キャリアの安全性も低くなると、「危険な職場」(いわゆるブラック企業)となってしまい、もう「職場として成立しているのか……」と思う程の状態となります。 

 

■「陰湿さ」は人から人へ伝播する 

 

 また最近お伺いする声として徐々に増えてきているのが、この「危険な職場」の中でも「陰湿な職場」です。 

 

 この陰湿な職場は、著しく信頼関係が希薄です。 

 

 もはや互いを疑っているに等しいほど非常に厄介な状況です。 

 

 なぜ厄介かというと、陰湿な行為をしている上司側は「陰湿」だと気づいていないことが多いからです。 

 

 また、陰湿な行為をすると部下にも伝播し、さらに部下が後輩へ陰湿なフィードバックをし、徐々に職場全体へと陰湿な行為が広がっていきます。 

 

 つまりは、たった一人の陰湿な上司がいるだけで、陰湿行為が伝播し、「陰湿な職場」になる、ということもあるわけです。 

 

■あなたは大丈夫? 「陰湿な上司」5大特徴 

 

 そんな「陰湿な職場」を作り上げている上司の特徴5つをまとめます。 

 

 ぜひ、自社の管理職・そしてご自身の対応も含め確認していただくことをお勧めします。 

 

① 長さ:長時間のフィードバック 

 相手のことを考えず、グチグチと2時間ほどかけてフィードバックを繰り返す。長いときには、いつまでも怒りがおさまらず1週間ほどかけてネチネチと伝える。 

 

② 言葉:「あなたのため」を強調する 

 

 人を傷つける破壊的なコメントを直接伝えるのであれば、部下側も「辞めよう……」などの判断をすることができるが、言葉巧みに相手の自責の念を掻き立て「全て自分が悪い」と認識させる。 

 

③ タイミング:全社会議、後輩の前、陰口 

 部下のプライドが傷つくタイミングをわざと狙ってフィードバックを行う。もはや相手の成長などよりも、恥をかかせようが目的になっていることもある。また、陰湿な組織=陰口と言ってもいいように、組織全体に蔓延している。加えて、社内電話にもかかわらず居留守を使っている人がいる職場は要注意。 

 

 

④ 所作:ため息、面倒臭そうな顔 

 部下がミスした場合に「改善策を伝える」のではなく「ため息」から入り面倒臭そうな顔で対応する。また部下が提案などをしてきた場合は「で?」で会話が終わってしまう。 

 

⑤ 表現の仕方:言葉としては良いが「言い方」に棘がある 

 言葉としてはポジティブだが、言い方が明らかに嫌味のようになっている。また、あなたの存在や言動を認めてもいないことが伝わってくる。 

 

 このような特徴がある上司が管理職をしている場合は、「陰湿な職場」になっている可能性が非常に高いです。 

 

 私もさすがに会社全てが「陰湿」になっている状況は見たことがありません。 

 

 ただ、この特徴を持っている上司のチームだけは「陰湿な職場」になっているところを何度も拝見しています。 

 

 さて、もう少し深掘りしたいのが、このような歪んだ上司が管理職になると「陰湿な職場」には、どのような問題が生じるのでしょうか。 

 

■歪んだ上司と「誰も幸せではない職場」 

 

 結論からお伝えすると「誰も幸せではない職場」へと変貌を遂げます。 

 

 部下は上司の顔色をうかがいながら働くようになります。 

 

 その歪んだルールや歪んだ態度に合わせて変化をしていきます。 

 

 例えば、どのような問題が起こるかというと、 

 

・上司に通すためだけの資料ができる 

・聞けない空気、教える人がおらずノウハウが属人化する 

・離職だけでなく、メンタル不全者が定期的に出る 

 などの事象が多発します。 

 

 このように歪んだ上司に合わせて部下が対応しているにもかかわらず、自分自身も不満を抱えているため上司も満足していません。 

 

 つまり、誰も幸せではない職場が出来上がってしまいます。 

 

 では、自分が「陰湿」で歪んだ職場を作り出さないために、どうしたらいいでしょうか。 

 

 上司が持つべき重要な心構えを1つ紹介します。 

 

■「陰湿な職場」にしない心構え 

 

 「陰湿な職場」では、当然ながら部下の失敗に対して「ネチネチ」と責め立てモチベーションを削り取る行動がうかがえます。 

 

 そうではなく、「部下の失敗」こそ、部下をファンにさせる絶好の機会であることを理解する必要があります。  

 

 

 失敗したときに責めたところで、相手を思考停止させ、より傷つけるだけです。 

 

 失敗の原因ばかりを責め立てるのではなく、改善策を共に考えることが重要です。 

 

 「困っているとき」「弱っているとき」だからこそ、部下のほうもあなたの行動をより見ています。 

 

 誰も「嫌われたい人」はいません。 

 

 このような一つひとつの行動の変化が、陰湿な職場へ転換させることを食い止め、あなたの信頼を増していくのです。 

 

まとめ 

「部下の失敗」こそファンにさせる絶好の機会である 

 

・失敗したときに必要以上に責めない→相手の思考を停止させてしまう 

・改善策を共に考える 

・「困っているとき」だからこそ、部下はあなたの行動を見ている 

 

中北 朋宏 :俺 代表取締役社長 

 

 

 
 

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