( 138253 )  2024/02/11 22:58:42  
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後払い決済の新たなサービス「アトカラ」 

 

BNPLという言葉は「Buy Now Pay Later」(いま買って、後で支払う)という意味の英語の頭文字を取ったものです。いわゆる後払い決済サービスを指していて、いま若者を中心に利用が広がりつつあります。この「後払い決済」の新たなサービスを、三井住友カードが7日から始めると発表しました。一方、すでに利用が拡大しているアメリカでは、債務を抱える若者の増加が懸念されています。 

 

 

 

「新たなBNPLサービスの名称は『アトカラ』です」(「三井住友カード」の疋田政彦常務) 

 

三井住友カードやGMOペイメントゲートウェイなどは6日、後払い決済の新たなサービス「アトカラ」を7日から始めると発表しました。大手カード会社として業界に初めて参入します。 

 

メールアドレスと電話番号を入力するだけで、最大5万5000円分までネット通販で商品を購入することが可能。会員登録は不要で、料金は商品の到着後、コンビニや口座振り込みなどで支払います。さらに事前に登録をしておくとQRコードを使って、実際の店舗でも後払い決済で買い物ができます。 

 

大手カード会社の決済網を利用することで、今後、全国にある最大およそ30万台の端末で後払い決済を選ぶことが可能となります。さらに事前に会員登録をすれば利用枠は数十万円まで広がります。 

 

なぜクレジットカード会社が後払いサービスに参入するのでしょうか。  

 

「後払いサービスを利用するのは若年層や主婦層。ネット通販などにクレジットカード番号の入力をためらう人も多い。クレジットカードで捕捉できないようなニーズの決済も対応したい」(「三井住友カード」の疋田常務) 

 

アメリカでは後払い決済が既に普及しつつある 

 

後払い決済が既に普及しつつあるのがアメリカです。ニューヨークの大学生に聞いてみると「店で勧められて使ってみた。簡単に使えるから気に入っている」「誕生日にドレスを買った。本当に欲しかったから。クレジットカードの利用額を増やしたくないから、後払い決済を使う」といいます。 

 

クレジットカードより気軽に使えるという後払い決済。ニューヨーク支局の木下幸太郎記者が実際に登録してみました。 

 

「名前やアドレス、そして誕生日を入力します。年収などの個人情報を入れると、一旦アカウントの作成はできました。早いですね」(木下記者) 

 

審査なしで2000ドル(およそ30万円)分の買い物ができるようになりました。 

 

こうした手軽さから、アメリカでの後払い決済サービスの利用者は年々増加。2023年の年末商戦ではオンラインの利用額が前の年から14%伸びるなど、アメリカの景気を押し上げる一因にもなっています。 

 

 

アメリカでは債務を抱える若者が増加し懸念も 三井住友カードが参入「後払い決済」とは【WBS】 

 

一方、後払い決済の拡大で問題となりつつあるのが、債務を抱える若者の増加です。 

 

スタンフォード大学ビジネススクールのエド・デハーン教授は「銀行やクレジットカードと違い、後払い決済サービスは金融当局の規制が少ない。複数の後払い決済サービスで限度額いっぱいまで使っても、他の後払い決済サービスをすぐに利用できてしまう」と問題点を指摘します。 

 

クレジットカードの場合、あるカードで支払いに問題があると、その情報が信用情報機関に報告されます。この情報は他のカード会社にも共有されるため、新しくカードを作ることは難しくなります。 

 

しかし、アメリカの後払い決済サービス業者には今のところそうした報告義務がありません。そのため、ある後払い決済サービスで問題があっても、他の業者にその情報が共有されず、ユーザーは新しいアカウントを簡単に作ることができてしまうといいます。他のローンの延滞率も18%と、後払い決済サービスを利用していない人(7%)より高くなっています。 

 

「アメリカの金融当局による後払い決済サービス規制の動きは驚くほど遅い。サブプライムローン問題のような大きな問題にならないことを願っている」(デハーン教授) 

 

三井住友カードでは、利用枠が数十万円の後払い決済サービスについては延滞などのトラブルがあった場合、法令に基づいて信用情報機関に情報を共有することになっているとのことです。 

 

※ワールドビジネスサテライト 

 

 

 
 

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