( 140018 ) 2024/02/17 00:29:29 0 00 東京都品川区の大井ふ頭周辺で列をなすトラック
政府は16日、トラック運転手の人手不足で物流危機が懸念される「2024年問題」への対応を盛り込んだ中長期計画をまとめた。法規制やデジタル技術を用いた物流効率化などによって、令和12年度までにトラック運転手1人当たりの荷待ち・荷役作業時間を年間125時間以上削減することなどが柱になる。適正な価格転嫁などを通じ、6年度に10%前後の運転手の賃上げを目指す方針も打ち出した。
■首相も強い意欲
「2024年問題は年々深刻化する構造的な問題。産業界や消費者、政府が同じ危機感を持って取り組まなければならない」。岸田文雄首相は16日、物流業界のトップらとの意見交換の場で、物流改革への強い意欲を示した。
トラック運転手の時間外労働を年960時間とする規制が4月から始まることで、人手不足による物流の停滞が懸念される。6年度には輸送能力が元年度比で14%、12年度には34%不足すると試算され、中長期計画には輸送力不足を補うための具体策を盛り込んだ。
■共同輸送も推進
荷待ち・荷役時間の削減に向けては、13日に閣議決定した物流関連法の改正案で荷主や運送事業者への規制を強化したことと併せ、仕分け作業などを自動化した倉庫や無人フォークリフトなどへの投資を支援する。ほかにも、トラックの輸送効率を示す積載率は、複数企業の荷物をまとめて運ぶ「共同輸送」の推進などで元年度の38%を12年度に44%に引き上げる。
運送事業者が荷主に適正な運賃を請求できるよう、国交相の運賃の目安として示す「標準的運賃」は6年度に現行水準から平均8%引き上げる。さらに法規制で荷造りや仕分けなど運送以外の付随業務の料金もしっかり受け取れる環境を整備し、10%の賃上げにつなげる。トラック運転手の所得額は全産業と比べて約1割低く、「2024年問題」による人手不足に対応するためにも大幅な賃上げを実現できるかが焦点になる。(万福博之)
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