( 140113 ) 2024/02/17 13:25:43 0 00 (写真:読売新聞)
政府は16日、トラック運転手の労働時間短縮で輸送力不足が懸念される「物流2024年問題」の対策指針となる中長期計画をまとめた。運転手の荷待ちや荷役の時間を30年度までに1人あたり年間125時間削減するほか、トラックの積載率を高める取り組みを強化し、需要に対応する輸送力を確保する。また、運転手の待遇を改善するため、輸送運賃の水準を引き上げて賃金が継続的に上がる環境も整える。
【図表】物流2024年問題を見据えた法律の改正
計画では、30年度時点で、需要に対して輸送力が34%(約9億トン相当)不足すると見込まれると想定した。中長期で取り組む各対策の効果を積み上げることで、不足分は補えると試算している。
荷物の受け取りや積み下ろしに費やす時間を削減することで、運転手が運転業務に専念できるようにする。宅配便などの業務を行う運転手の負担となっている再配達の割合も、現在の12%から6%に半減させる。
また、最も効果が大きいとみられるトラックの積載率の向上にも取り組む。往路は荷物を満載する一方、復路は空荷となるトラックが多く、19年度の積載率は38%だった。空荷のトラックは「空気を運ぶ」(国土交通省幹部)状態のため、複数の荷主による共同配送の推進やデジタル技術の活用により、30年度には6ポイント増の44%へ高める。
政府は大手の荷主や物流事業者にこうした取り組みを義務づけるため、今国会に物流総合効率化法など物流関連2法の改正案を提出した。事業者側は荷待ち時間の削減や積載率を高めるための計画を策定し、定期的に国に報告する義務を負う内容となっている。
運転手のなり手の確保で、政府は24年度、トラック事業者が受け取る適正な運賃水準として示している金額を平均約8%引き上げるほか、荷物の積み下ろし作業にも適正な対価水準を新たに設定する。これらの対応により、トラック事業者の収益を改善させ、運転手の賃金を10%前後引き上げる後押しをする。
岸田首相は16日に首相官邸で開いた物流関連企業の幹部との意見交換会で、「24年問題は年々深刻化する構造的な問題だ。物流業界や荷主、消費者、政府が同じ危機感を持って取り組まないといけない」と述べた。
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