( 140211 ) 2024/02/17 15:13:50 1 00 最近、アイヌ文化への関心が高まっており、「ゴールデンカムイ」や「ウポポイ」といった関連コンテンツが人気です。 |
( 140213 ) 2024/02/17 15:13:50 0 00 「ゴールデンカムイ」や民族共生象徴空間「ウポポイ」など近年、関心が高まっているアイヌ文化。一方でアイヌに対するある国会議員の言動に批判が広がり続けています。
1月から道立近代美術館で始まったアイヌアートに関する展覧会「AINUARTモレウのうた」。初日の会場には家族連れなど多くの人が訪れました。
アイヌアートの展覧会(1月 道立近代美術館)
来場者母親 「子どもがアイヌの文化に興味を持っていてそれで見に来たいということで来ました」 子ども1 「すごく楽しかった」 男性 「自分の周りにアイヌの方がいるのか意識はしていないんですけど文化としてはすごく身近にあるなとは感じていて」
その一方、同じ日に札幌市では、ある抗議集会が開かれていました。
アイヌの男性 「マイノリティの権利がだとかもっとそれ以前の次元になってきていますね本当に」 参加した男性 「本当に日本社会が差別とアイヌの歴史と向き合うことをしないと変わらない」
ことの発端は、自民党の杉田水脈衆議院議員が2016年国連の女性差別撤廃委員会に参加した際にブログに投稿したコメントです。
「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場。完全に品格に問題があります」※現在ブログの投稿は削除
杉田水脈議員(2022年 参院予算委)
委員会に参加していたアイヌと在日コリアンの女性を揶揄したこの投稿は、2022年国会の場で問題視され、杉田議員は投稿を削除した上で謝罪。 総務大臣政務官から事実上、更迭されました。
多原良子さん 「小さいころからうちの仏壇にあったんだよね。結婚したらお盆とかお正月とか夫と帰るわけでしょ。このおばあちゃんのこの写真が嫌でアイヌだってバレる」
アイヌの祖母2人を持つ、札幌の多原良子さん。杉田議員にブログで揶揄された当事者です。 投稿を受けて在日コリアンの女性らと連帯し、去年、札幌法務局に人権救済を申し立てました。
多原良子さん 「『諸般の事情を考慮した結果相手方に対して措置を猶予する。併せて同人に対して啓発を行った』ということで。どんなふうに啓発しなのでしょうか?と言ったら『もう少しアイヌの歴史や文化を学んで発言に注意するようにと言いました」ということを言っていました」
申し立ての結果、杉田議員は札幌と大阪の法務局から「人権侵犯」の認定を受けましたが、その後もSNSなどで自らを正当化する発信を繰り返します。
杉田氏のX 「人権侵犯の対象となったブログはアイヌ民族について書いたものでない。女子差別撤廃委員会に参加していた左派の活動家について書いたものです」 「そもそもその方々がアイヌ民族なのかどうか?」
出演したYouTubeの番組では、アイヌ文化振興事業に公金の不正流用疑惑があるとの見解を示した上で、こう揶揄しました。
杉田水脈議員 「流行語対象の中にノミネートされても良かったと思うんですけどね公金チューチュー」
この発言後、政府はアイヌ文化振興事業について「現在は適正に執行され、不正経理はない」と説明しています。 杉田議員は1月、山口県で開いた記者会見でも「差別するつもりは一切なく、法務局からの啓発も受けていない」と改めて主張しました。
杉田水脈議員 「向こう側の方の言い分のみを聞いての人権侵犯の認定なんではないかというふうに思っておりまして」 「もしもあのブログを読んでどなたも傷ついていらっしゃらないのであれば、謝罪をする必要はないんじゃないかというふうに思っておるということでございます」
多原良子 「彼女は差別ではないと言っているのでそういった感覚は全く持っていないんでしょうけれども。あんなひどい書き込みを皆さんがされたらどうですか逆に私が言ったらどうですか本当にあまりにもひどいというか」
Xの投稿 「アイヌは先住民族縄文人の土地を侵略した悪者部族だよね」
杉田議員に同調する意見やアイヌに対する差別的な投稿は、SNSなどインターネット上にも溢れています。
Xの投稿 「北海道には数十年前までアイヌのアの字も無かったんです」 「アイヌは日本人。差別を利用したアイヌ利権で税金投入する枠組」
インターネット上に溢れる、アイヌへの差別的な投稿。アイヌは優遇されていて逆差別だという主張も多く見られます。
ウレシパクラブ踊りの練習
アイヌの伝統舞踊を練習する学生たち。札幌大学でアイヌの文化や歴史を学ぶ「ウレシパクラブ」のメンバーです。 メンバー18人のうち、6人がアイヌの学生です。
札幌大学では2010年度から進学を目指すアイヌの学生に入学金や授業料を給付する、「ウレシパ奨学生制度」を導入しました。
本田優子教授 「やっぱり経済的に大変なお宅が多いのでなかなか進学率が低いんですよね。もう一つはやっぱり20歳前後の時期ってものすごく自分について考える時期なのでそういう時期つまり高等教育大学の中でアイヌ文化をちゃんと学べる場を作りたい」
制度を立ち上げた本田優子教授の元には当初、逆差別だとの批判が相次いだといいます。
本田優子教授 「アイヌの若者たちと一緒になってそういう異文化的な多文化的な環境の中にマジョリティの学生も身を置くことによって多様性の感覚が培われると。だからこれは決してアイヌの若者たちだけのものではなくてマジョリティの学生たちが成熟していくためのうちの教育理念に沿った人間として育っていくためのプロジェクトなんだと」
大学4年の結城泰さんは、ウレシパクラブの学生共同代表としてメンバーを束ねています。 両親ともにアイヌである結城さんは普段、表立って差別やヘイトを受けることはないと言いますが…
結城泰さん 「純血の方なんですか?あとアイヌ何世なんですか?とか聞かれたことがあって。なんかそれはそっちのステレオにはめているだけであって、こっちには無い型なんで。なんかモヤってする感じですよね。差別っていうか無知ゆえに出てくる発言なのかなって思います」
インターネット上の差別的な投稿は「ストレスのはけ口」なのではないかと冷静な目で見ています。
結城泰さん 「差別があったとか差別体験とかのエピソードのネガティブキャンペーンは、僕あまり好きじゃなくて、ネガティブを伝えるのはネガティブにまた伝わるじゃないですがネガティブって影響する感染していくと思うので。でもそういう事実があったっていうのは伝えていくべきだとは思います。こういう差別の歴史があった、今も差別があるっていうのは」
「ウレシパ」の意味はアイヌ語で「育て合い」。アイヌ文化への関心が高まる今、差別の歴史を理解することも必要とされています。
HBCは杉田水脈議員に対して人権侵犯の受け止めなどを質問しましたが、杉田議員は「引き続き国会での議論や自らのSNS等で見解を示してまいります」と回答しています。
日本には差別を包括的に禁止する法律はありません。 ヘイトの問題に詳しい島田度弁護士によりますと、アイヌ民族への差別禁止を明記している「アイヌ施策推進法」や不当な差別言動を禁止する「ヘイトスピーチ解消法」は理念法であり、罰則は定められていません。 神奈川県川崎市では、ヘイトスピーチに罰則を課す条例を制定していますが、北海道でこうした条例を設けた自治体はありません。 ◇取材:HBC報道部 中原達也
北海道放送(株)
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