( 140871 )  2024/02/19 14:38:32  
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リリちゃんと名乗る女性(25)が男性からだまし取ったお金を脱税したとして名古屋国税局から告発された。

所得税法違反の疑いで罪に問われており、1億1000万円を申告していない疑いがある。

税法上、犯罪による収入も適法な収入と同様に所得税が課されるが、それは犯罪行為を容認するものではない。

犯罪収益で確定申告することは可能だが、現実的に問題が多い。

犯罪収益ではなく、適正申告と納税を行うことが重要。

税理士は全ての所得に対して適正に納税することを推奨している。

(要約)

( 140873 )  2024/02/19 14:38:32  
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YouTubeより 

 

「頂き女子りりちゃん」と名乗って複数の男性から現金をだまし取った罪に問われている女性(25)がこのほど、名古屋国税局から約4000万円を脱税したとして、所得税法違反の疑いで告発された。 

 

報道などによると、女性は2021~2022年の間に勤務先の風俗店やマッチングアプリで知り合った複数の男性からだまし取った約1億1000万円を申告しなかったという。所得税約4000万円を脱税した疑いで1月19日付で告発された。 

 

女性については、複数の男性から総額1億5000万円以上をだまし取った罪などに問われている刑事裁判が進行中だが、今回の告発では「約1億1000万円」が対象となったようだ。 

 

仮に犯罪など違法な手段で金銭を得たとしても正直に税の申告する者はいないと思われるが、それでも課税対象となる「所得」に当たるのだろうか。松本崇宏税理士に聞いた。 

 

●犯罪であるかどうかに関わらず、所得に応じた納税が必要 

 

ーー犯罪収益は税法上どう扱われるのでしょうか。 

 

頂き女子りりちゃんがだまし取った金銭は所得に該当します。つまり、所得に応じた納税が必要です。 

 

所得税法はその収入の基因が適法か否かを問わず、全ての所得に対して税金を課す原則があるからです。今回のような犯罪によって得た収益も、適法な手段で得た収益と同様に所得と見なされ、所得税が課されることになります。 

 

しかし、犯罪による収入に税金が課されるということは、犯罪行為を容認する意味ではありません。犯罪による収入であっても経済的な利益を得ている以上、税法上の所得として取り扱われることと、その行為が刑法上許されることは異なります。 

 

税理士としては、全ての所得に対して適正に税金を納めることが大事であり、同時に他の法律も遵守し、適法な手段で所得を得ることを推奨します。 

 

なお、頂き女子りりちゃんは、名古屋国税局から所得税法違反で告発されました。脱税事件に発展しており、税金に対する認識の甘さがあったようです。記事によると、りりちゃんはだまし取った金銭をホストクラブで費消しており、納税できない可能性がありますが、国税局は「お金がないからごめんなさい」では許してくれません。 

 

●プロの「泥棒」が本当に確定申告できるのか 

 

ーー犯罪収益でも確定申告をすることは可能なのでしょうか。 

 

もちろん、犯罪収益でも確定申告は「可能」となります。 

 

法律では犯罪によって得られた収益であったとしても確定申告が必要なため、本来は義務となります。ただし、自ら犯罪収益を確定申告しているケースは現実的には見たことがありません。 

 

実際に犯罪収益を確定申告することは、税法の枠組みのなかでの取り扱いとは別に様々な問題を引き起こします。例えば、プロの泥棒の方が確定申告をする場合、職業欄に「泥棒」と公にすることは難しいと思います。泥棒による犯罪収益を確定申告することで、その犯罪行為を自ら公表することになるため、逮捕などの法的なリスクが伴います。 

 

プロの泥棒の方が自ら確定申告をしている場合には、バールや目出し帽などどのようなものを経費にしているか関心があるところですが、実際には逮捕されてからでないと課税されるケースはないのではないかと思われます。 

 

いずれにしても、犯罪ではなく健全に収益を得ること、適正申告及び適正納税を心がけることが大切です。 

 

【取材協力税理士】 

松本 崇宏(まつもと・たかひろ)税理士 

税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査対応実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。 

事務所名 : 税務調査特化税理士 税理士法人松本 

事務所URL:https://www.tokyo-consulting.com/zeimu/ 

 

弁護士ドットコムニュース編集部 

 

 

 
 

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