( 141088 )  2024/02/20 01:02:46  
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日経平均株価が34年前の史上最高値に迫っています。“バブル期”と今、比較すると何が違うのか、生活への影響はあるのでしょうか。 

 

【写真を見る】好景気はやってくる?「賃上げ」の可能性は?株価史上最高値に迫るも生活への恩恵は「実感ない」【Nスタ解説】 

 

■バブル期並みの株価も…社会全体の好景気ではない? 

 

日比麻音子キャスター: 

日経平均株価は16日、史上最高値に迫りましたが、なぜここまで実感がないのでしょうか。 

 

日経平均株価の推移ですけれども、史上最高値の3万8915円を記録したのが1989年、まさにバブルの時期です。この金額に迫ったのが2月16日(金)でした。 

 

バブル期の株価に迫った要因はさまざまなあると思いますが、たとえば▼半導体や生成AIなどの情報技術を扱う日本企業において好調であるから、海外の投資家が期待しているということ。 

 

▼円安で、海外の投資家にとってはお買い得感があるということ。 

 

▼中国などにおいて経済が減速しているから、日本株にシフトしていく。こういった状況がみえてきています。 

 

さらに企業の実感としては、純利益がアップしているという企業が増えています。上場している企業ですから大企業に限るということになりますけれども、1430社では、3年連続で純利益が過去最高を更新の見込みとなっています。 

 

Nスタコメンテーターのハロルド・ジョージ・メイさんにお話を聞きました。「コロナ明けからの需要の回復を感じている。ただ、バブル期のような社会全体の好景気ではない」。さまざまな企業の取締役を務められたメイさんは、どのように感じていらっしゃいますか? 

 

ハロルド・ジョージ・メイさん: 

私のキャリアがスタートしたのはバブルの真っただ中です。ただ、忘れてはいけないのは、当時はバブルという言葉すらなかったですから。 

 

当時は日本経済がもうイケイケゴーゴーで、とどまることを知らない。そのうち世界で一番になるんじゃないか。そのくらいだから「24時間タタカエマスカ」というのは当たり前のことで、貯金とか考えたこともなかったです。 

 

とにかく入ってきた収入はそのまま使っても全然大丈夫、また入ってくるだろうという甘えが、社会全体に広がっていた時代でした。 

 

 

井上貴博キャスター: 

その世代の皆さん、もう少ししっかりやっていただきたかったと下からは思いますけど、でもバブル期は内需が好調で、金融とか不動産が伸びた。そして賃金も上昇しました。 

 

でも今は海外からの投資家だから、株価は上がるけれども、賃金はまだ上昇していない。しかも日本の国内総生産は2期連続でマイナス。だから実感が全然湧かない。 

 

実感、何かあるかなと考えると、NISAの運用グラフだけですね。実感は他に何もないですもん。 

 

ハロルド・ジョージ・メイさん: 

当時は本当に、そういうことを考えてもいなかった。貯金とか、将来のために今から頑張るんだという発想ではなく、デイ・トゥ・デイだったんです。 

 

井上キャスター: 

でもそれで、まったく困らないということですもんね。 

 

ハロルド・ジョージ・メイさん: 

もっとよくなるだろうとしか考えていなかった。 

 

今だから過熱だとか、簡単にデータを振り返ってみると「そうだよね」というのがあったかもしれないですけど、当時はまったく。 

 

■課題は国内雇用の7割を占める、中小企業の賃上げか 

 

日比キャスター: 

日経平均株価が最高値に迫っていると言われても、生活の安心感はまったくないんですけどもね。 

 

生活への恩恵はどうかと聞いてみたところ、こうした声も聞こえてきました。 

 

60代 自営業 

「実感としては株だけが勝手に上がっている感じ。日常生活の中では全くなんの変化もない。物価高だけが続いている」 

 

40代 会社員 

「値上げばかりで自分自身の生活は賃金も上がってないし、良くなっている実感はない」 

 

ただ、今後の賃上げの可能性について、みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介首席エコノミストによれば「業績がいい半導体や情報技術(生成AI)などの大手企業を中心に賃上げの傾向か」ということですが、大手だけではないわけですよね。 

 

ハロルド・ジョージ・メイさん: 

そこがポイントで、我々が社会的によくなるためには、賃金を上げてもらわないといけない。 

 

確かに労務行政研究所によると、プライム上場企業は平均で2023年、3.7%上がっている。つまり業績がいいところは上がっていていいんですけども、ポイントは日本商工会議所によると、日本の雇用の約7割が中小企業。この中小企業がなかなか、自分たちの商品やサービスの価格を上げることが難しい。 

 

だから賃金も上げられないというジレンマを感じていらっしゃる企業がすごく多いということを、我々は忘れてはいけないですね。 

 

 

井上キャスター: 

日本商工会議所が同じく1月に行った調査では、2024年、中小企業のなかで賃上げを予定していると答えたのは6割ぐらいです。そうすると、2023年から上がっています。 

 

ですから、いいサイクルが回っていく。中小企業などが身を削ることがないように、しっかりと商品価格に原材料高などを転嫁できる、いいインフレにどう結びつくか。ここ、すごく正念場だと思うんですね。 

 

ハロルド・ジョージ・メイさん: 

それと、あとどのぐらいの期間でこれができるかどうかですよね。これだけ、ある意味、また株価が上がっている。調子がいい会社も中にはあるなかで、それが5年、10年と続くかどうかはわからないですよね。 

 

これが毎年少しずつでもいいから、少なくとも物価指数を超えるぐらいが一番理想なんですけども、それぐらいがないと、社会としても生活の質が上がっていかないわけですよね。 

 

井上キャスター: 

元総理の安倍さんもずっと話していたのが、トリクルダウンでしたっけ。その企業が動けるのは、まずいい。いいけれども、それが賃金が上がるところまですぐいかない。そこが日本は長いし、それがなかなか実現できなかったから、我々もずっと企業だけ儲けるという。 

 

でも、企業が儲けるのは大切で、それをどう早く賃金に転嫁できるか。 

 

ハロルド・ジョージ・メイさん: 

賃金と税制ですよね。税制をどうやって考えるのか。もちろん個人の所得もそうですけれども、そういうのも所得に最終的には響いてくるものですから、それも合わせてやらないと、なかなか簡単ではないですよね。 

 

井上キャスター: 

具体的に、どういったものが必要だと思いますか? 

 

ハロルド・ジョージ・メイさん: 

たとえば中小企業の税制を緩和するとか、あるいは補助金を出すとか、今でも所得に合わせてやってますけれども、抜本的に考え直すとか、そういうことがいろいろできると思いますね。 

 

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