( 141413 )  2024/02/21 00:16:54  
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 西日本には、「受験少年院」「受験監獄」などと揶揄されるような、管理型の教育を展開する多くの名門中高一貫校が存在する。 

 

 こうした西日本の「受験監獄」は、その入学難易度と比較すると驚くほど高い進学実績を残している。 

 

 3月4日には初の著書『中学受験 子どもの人生を本気で考えた受験校選び戦略』(KADOKAWA)も出版予定のじゅそうけん氏が、西日本にあるおすすめのスパルタ中高一貫校を紹介する。東京編、神奈川、千葉、埼玉編とあわせた全3回の3回目。 

 

 大企業が少ない西日本はとりわけ医学部志向が強く、どうしても医学部に我が子を入れたい教育熱心な家庭と学校側が共犯関係となり、スパルタ系進学校が成立する。 

 

 中高一貫校であれば当然高校受験もない。年頃の子どもたちに完全に自由な環境が与えられると、どうしても中弛みしてしまいがちだ。そのため、学校側が熱心にお尻を叩いてくれることで、なんとか学力を堅持できるという側面もあることだろう。 

 

 生活指導面の厳しさに目を向けても、厳しい規律によって心身ともに鍛えられ、人間的に成長したという声もよく耳にする。礼儀正しく、上下関係にも気を遣える卒業生が多く、これは今後の社会人生活を考えてもプラスに働くはずだ。 

 

 以前、筆者が働いていたM銀行でも、規律が厳しい学校や体育会組織に身を置いていた同僚は上から評価されていた。伝統的日本企業(JTC)においては、上下関係を重視し、決められたことを忠実にこなすことが大変重視されるため、こうした厳しい環境を経験した人は活躍できるはずなのだ。 

 

 管理型教育を実践しているおすすめのスパルタ中高一貫校その1は、西大和学園だ。 

 

 渋幕と全国共学No.1を争っている、奈良県の中高一貫校である。 

 

 本校は近年最も注目されている進学校の一つで、関西の学校にも関わらず東大合格者数ランキングでトップ10の常連となりつつある。 

 

 親世代ではまだ進学校としては知られておらず、お子さんの受験を機に本校の現在のランクを知り仰天した方も多いのではないだろうか。 

 

 東大合格者数の推移を10年ごとに見ていくと、0名(1993)→25名(2003)→29名(2013)→73名(2023)と破竹の勢いで増加していることがわかる。 

 

 実は開学当初の経営路線は「文武両道」であり、難関大進学を目指しつつ、部活動でも実績を出そうと躍起になっていたよう。しかし、進学派の教師と体育教師の対立が起こるなど、こちらの二兎を追う方針は早々に取りやめとなる。そこで本校は進学指導に「全振り」しようという方針に切り替えるのだ。 

 

 受験情報サイトの口コミや、X(旧Twitter)での在校生の声を総合すると、「3 年間ひたすら勉強していた」と語る人が目立つ。特に高校入学組の授業進度は凄まじく、数学1Aが1ヶ月ほどで終了したという声もあるほどだ。 

 

 校内の教員のみならず、進学塾の講師が20時30分まで校内と寮で学習指導をしている。毎朝の小テストが実施され、先生の手作りのテキストが配布されるなど受験指導には大変な力の入れようである。 

 

 生徒は「受験少年院」と自虐しながらも、まんざらでもないような様子で、むしろ母校に感謝しているように見受けられる。どうしても東大・京大・医学部に入りたいという志のある子にとっては理想的な環境なのかもしれない。勉強は二の次でよく、青春を全力で楽しみたいという子は、自由主義型の学校や公立の方が良いかもしれないが…。 

 

じゅそうけん 

 

 

 
 

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