( 141418 )  2024/02/21 00:20:43  
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【北京=三塚聖平】中国人民銀行(中央銀行)が20日、住宅ローン金利の目安に絞って利下げに動いた。住宅購入を促し、不況が深刻化している不動産市場の改善を狙うが、供給過剰といった問題を抱えて市況には浮上の兆しが見えない。習近平政権は厳しい経済政策のかじ取りを迫られている。 

 

■「史上最大の下げ幅」 

 

中国経済メディアは20日、人民銀が同日、住宅ローン金利の基準となる「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」の5年物を0・25%下げたことを受け「史上最大の下げ幅」と強調した。住宅ローン金利の引き下げで住宅市場を回復させ、景気浮揚につなげる計算がうかがえる。 

 

昨年夏に住宅購入時の頭金の割合を下げるといった市場刺激策を打ち出しているが、思うような効果が出ていない。国家統計局が発表した昨年12月の新築住宅価格指数によると、主要70都市のうち前月比で下落したのは62都市で全体の約89%に相当する。規模が小さい地方都市である「3線都市」「4線都市」では価格下落がさらに深刻だ。 

 

価格下落を恐れた住宅購入の手控えのほか、供給過剰も響いている。統計局元幹部は昨年、中国に空き家や空室が30億人分あるとの推計もあるとし「14億人でさえ住みきれない」と発言した。 

 

■恒大集団問題も足かせ 

 

不動産開発業者の打撃も大きい。香港の裁判所が1月に清算を命じた中国恒大集団のほか碧桂園(へきけいえん)も資金繰り難にある。碧桂園は地方の中規模都市の開発に力を入れ「3、4線都市の販売王」という異名もあった。2022年は業界首位だったが23年は下位に落ちた。 

 

不動産不況は景気回復の足かせとなっている。国際通貨基金(IMF)は今月、中国の不動産不況で政府が必要な対策を取らなければ経済成長率が24年に1・0ポイント、25年に0・8ポイントそれぞれ下振れする可能性があるとの試算を公表した。 

 

一方で、習政権の景気下支えはジレンマを抱える。人民銀は今回、企業への貸出金利の目安となる1年物は6カ月連続となる据え置きを決めた。中国経済は消費が勢いを欠いてデフレ懸念がくすぶる。市場には追加の金融緩和への期待が根強いが、人民元安や金利低下が金融機関に与える影響を警戒しているもようだ。手詰まりとなっている景気対策が市場に「小出し」の印象を与えており、株価が弱含む一因にもなっている。 

 

 

 
 

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