( 142048 ) 2024/02/22 23:56:38 0 00 東京証券取引所=東京都中央区
東京株式市場で日経平均株価が22日、史上最高値を更新した。34年前に最高値を付けたときは、その後のバブル崩壊で株価は大暴落。日本人の投資に対する恐怖心を植え付け、今の貯蓄中心の資産形成につながったとされる。ただ、株価絶頂期から〝失われた30年〟の間も毎月1万円ずつ投資を続けた人と、同額を銀行に預金し続けた人で試算をすると、保有する資産額は2倍以上の差がついた計算になる。
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■当初は貯蓄が上回るが…
試算は産経新聞とSOMPOインスティチュート・プラスの小池理人主任研究員が合同で実施。株価が最高値を付けた平成元年12月から、毎月1万円ずつ、日経平均に連動した金融商品への投資を始めたAさんと、日経平均と米国のダウ工業株30種平均に連動した金融商品にそれぞれ毎月5千円ずつ投資したBさん、毎月1万円を銀行に預金したCさんで比較した。
その結果、最も資産が増えたのはBさんで、411万円の投資額に対し1776万円(1万円未満切り捨て)の資産が形成されていた。Aさんは1042万円(同)、Cさんは413万円(同)だった。
当初は預金を続けたCさんの資産が上回る時期が目立つが、25年ごろからAさんとBさんの資産が急伸。小池氏は「株価が低迷していた時期も投資を続けたことで、日本銀行の異次元の金融緩和政策を背景に株価が上昇すると、一気に資産が膨らんだ」と話す。
■「お金に働いてもらう」という発想
今回の試算は単純に金融商品を買い足し続けただけだが、投資で得た利益を元に、再投資を行うことで得られる「複利」も考慮すれば「資産はさらに大きく伸びていたはずだ」という。Bさんの資産がAさんよりも増えたのは、この間の米国株の上昇が日本を上回っていたからだ。
もちろん投資には元本割れのリスクもある。しかし、リスクを小さくすることは可能とされ、金融庁も「長期・積立・分散」による投資を推奨している。投資先を国内株だけでなく外国株や国債などに「分散」させ、一度に多額の投資をするのではなく、少額を定期的に投資し続けることで、急激な価格変動リスクを低減させられるという。
日本の家計の金融資産は2000兆円を超えるが、過半が現預金だ。米国などは活発な賃上げだけでなく、投資による資産形成が加わることで個人資産が大きく増えており、金融庁の担当者は「投資により『お金に働いてもらう』という発想を持つことも大切だ」と話している。(蕎麦谷里志)
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