( 143163 ) 2024/02/26 13:06:44 0 00 東京高裁=東京都千代田区
神奈川県大井町の東名高速で2017年、あおり運転でワゴン車を停止させ、大型トラックによる追突で一家4人を死傷させたとして、危険運転致死傷などの罪に問われた石橋和歩(かずほ)被告(32)=福岡県中間市=に対する差し戻し後の控訴審判決が26日、東京高裁であった。安東章裁判長は懲役18年とした差し戻し後の一審・横浜地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。
【写真】石橋和歩被告
この裁判では、最初の裁判員裁判の公判前整理手続きに違法があったとして一審がやり直されており、被告が判決を受けるのは今回で4度目となった。
事故は17年6月5日夜に東名高速で発生した。石橋被告はパーキングエリアで駐車方法を非難されたことに腹を立て、萩山嘉久さん(当時45)、妻の友香さん(当時39)ら家族が乗る車を追跡。急な加速や減速、車線変更によって萩山さんの車に接近する妨害運転を4回繰り返し、停車を余儀なくさせた。そこに別の大型トラックが追突し、萩山さん夫婦は死亡し、同乗する娘2人がけがをした。
公判では、被告の一連の行為に危険運転致死傷罪が適用できるかが主な争点となり、横浜地裁の裁判員裁判は18年、同罪の成立を認めて懲役18年を言い渡した。
■前回の高裁は「差し戻し」
だが、東京高裁は19年、横浜地裁の裁判官が、裁判員がいない審理開始前の公判前整理手続きの場で、同罪について「成立は認められない」との見解を示したことを問題視。一審の弁護人は「同罪が成立しない」との前提に立ち、公判で十分な防御ができなかった可能性が高いと指摘した。その上で、裁判員も含めた審理で見解を変えて同罪の成立を認めたのは「不意打ち」だとし、一審判決を破棄し、審理を地裁に差し戻した。
裁判員裁判がやり直され、地裁は22年、再び同罪の成立を認めて懲役18年の判決を出し、被告が控訴していた。
この事件をきっかけに自動車運転死傷処罰法が20年に改正され、走行する車の前で停車する行為も危険運転の対象として処罰対象にすることが明記された。(田中恭太)
朝日新聞社
|
![]() |